検定試験ルートから日本語教師を目指すなら、じっくり準備してからではなく、今すぐに本格的な学習を開始し、「今年」受験することをお勧めします。(新城 宏治)【最終更新:2020年1月21日】
検定試験は確かに難関。しかし、「じっくり準備」してはいけない
日本語教育能力検定試験を受験して日本語教師を目指す人が年々増えています。年に1回だけ行われるこの試験は、合格率が3割を切る難関の試験ですので、皆さんの中には「じっくり準備をして、今年ではなく来年受験しよう」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ここは敢えて「今年」受験されることをお勧めします。先送りせず、今、受験を決めることが大切です。
令和2年度の日本語教育能力検定試験
まず、令和2年度の日本語教育能力検定試験の概要が主催団体のJEES(公益財団法人 日本国際教育支援協会)から発表になっているので、確認しましょう。何よりも大事なのが、出願締め切りが8月3日(月)であり、これに遅れると次の試験まで1年間待たなければならないということです。
- 出願期間(予定): 令和2年6月22日(月)から8月3日(月)まで(当日消印有効)
- 試験日:令和2年10月25日(日)9:00~16:40
- 受験料:10,800円(税込)
- 試験地:札幌、仙台、東京、愛知、大阪、広島、福岡
- 合否結果通知の発送(予定):令和2年12月25日(金)
受験者の3割は、実は複数回受験
世の中にある他のさまざまな試験と比べて、日本語教育能力検定試験には何か特徴はあるでしょうか。人によっても違うとは思いますが、初めて受験する人が気になるところは、(1)比較的受験料が高額であること、(2)試験時間が長いことの2点のようです。
受験料が比較的高額であるという理由で、受験準備をしっかりして(合格できるという自信がついたら)受験しようと考える人は案外多いです。しかし、主催団体のJEESの発表資料によれば、実際の受験者の3割は2回、3回、4回と複数回受験していることが分かります。
もちろん1回の受験で合格できたらそれに越したことはありません。しかし、ここ数年の合格率は2割台という低い水準で推移しており、決して易しい試験ではありません。400人以上の人が4回以上受験しているということを考えると、1浪ぐらいは覚悟して臨まなければならない試験なのかもしれません。
また、(2)試験時間については概要では8時間弱もあるように見えますが、実際は昼食時間や試験の説明、試験と試験の間の休憩時間がたっぷり取られているため、問題に取り組んでいるのは正味4時間ぐらいです。とはいえ短いとは言えないこのマラソンのような試験におけるペース配分も、2回目以降は随分とつかめてくるはずです。
平成30年度 日本語教育能力検定試験 全科目受験者 受験回数
出典:日本国際教育支援協会
忙しい人ほど「退路を断つ」覚悟を
どんな人にとっても受験料の1万円という投資は決して小さくはありません。しかしそれと引き換えに得られるものがあります。
それは、「緊張感」です。1万円払えば試験日前日までは必死になって検定試験の勉強ができます。数カ月間の本気度合いは自ずと違ってきます。また「試験慣れ」している人に見られるパターンですが、7月に出願して、8月、9月、10月の3カ月を上手に使って、3カ月という短期間で試験に合格するような人もいるのです。もちろん、仮に1回で合格できなかったとしても、自分がどのぐらい合格点に近かったのか(遠かったのか)という結果が受験者には通知されるので、決して無駄にはなりません。
逆に「来年、受験(合格)しよう」などと思っていると、いつまでたっても本気で勉強を始められません。
仕事や家事で忙しい人であればなおのこと、まずは最初の一歩として今年の検定試験に申し込むことを強くお勧めしたいです。そこから全ては始まります。