日本語教師になる方法について解説します。学校に通う、通信講座や書籍で学んで検定試験を受けるなど、いくつかのルートがあります。(Keiko)
日本語教師を目指したいと思っている方は、どうやったらなれるのか知りたいですよね。みなさんが疑問に思う点について解説します。
- 資格は必要なのか?
- 国家資格があるのか?
- 独学で日本語教師になれるのか?
日本語教師の資格 =「告示校」で教えるための条件
実は、日本語教師になるためのいわゆる国家資格や公的資格は特にありません。ですが法務省告示の日本語教育機関(告示校)で日本語教師として働くには、以下のいずれかの基準を満たすことが必要です。
2017年より国内の日本語学校(法務省告示校:以下、告示校)が満たさなくてはいけない「日本語教育機関の告示基準」が改正されたことで、日本語学校の教員条件が以下のように決定しました。
ちょっとわかりにくいので、それぞれわかりやすく言いかえると、
となります。
ここでは、通信教育または独学で上記1〜3の資格要件を取得することができるのかどうか、資格基準を満たす方法などについてご紹介します。また、最短で日本語教師の資格取得する場合や方法、日本語教教育能力検定試験の概要なども説明しています。
通信や独学で資格取得するには?
日本語教師になる方法
まず、国内の日本語学校(告示校)で日本語教師として働くには、さきほど挙げた基準1、2、3のどれかを満たす必要があります。
- 大学で日本語教育課程を主専攻または副専攻している
- 大学卒で日本語教師養成講座を420時間修了している(養成講座を受講)
- 日本語教育能力検定試験に合格している
大学で学ぶ方には、日本語教育能力検定試験がおすすめ
現在、1の日本語教育課程を専攻中の大学生や院生以外の方(つまり大多数の方)は、告示校で日本語教師になるには2または3の、どちらかの基準を満たさなければなりません。
それでは2の「420時間の養成講座を受講する」か、3の「日本語教育能力検定試験での合格を目指す」のどちらがおすすめか?といいますと、3の検定試験合格を目指す方がおすすめです。
なぜなら2の420時間の養成講座に通うよりも、3の日本語教育能力検定試験で合格を目指す方が圧倒的に、時間と費用が安価で済むからです。
3の「日本語教育能力検定試験に合格する」のが、できるだけ安く、かつ時間をかけずに日本語教師になりたい人には、もっともおすすめできる方法です。
日本語教師養成講座(420時間)を受講する場合
では、2の日本語教師養成講座を受講した場合はどうでしょうか?
2017年8月より、在留資格「留学」が付与される留学生を受け入れることが可能な日本語教育機関(告示校)の日本語教員の要件の一つとして、「学士の学位を有し、かつ日本語教育に関する研修であって適当と認められるものを420単位時間以上受講し,これを修了した者」と定められています。
要は「文化庁に認められた講座を受講すれば、修了後、告示校で日本語教師として勤務することができる」ということです。
もし最初から実践も交えて日本語教師の勉強をしたいなら、2の日本語教師養成講座を420時間受講する方が、検定試験に特化した勉強して資格を取得するよりもよいという考えもあります。
また、実践力を重視する一部の告示校においては、420時間養成講座出身者の方が、日本語教育能力検定試験合格者よりも就職の際には有利とも言われています。
通信教育や独学でも日本語教師になれる
しかし、さきほどお伝えしたように、日本語教師になるためには3の日本語教育能力検定試験に合格さえすれば、大学卒業資格(学士資格の取得)やそのほかの外国語資格が、特に必要ありません(なお、教員免許も特に必要ありません)。
ですので「日本語教育能力検定」は、通信教育や独学によって、安価でかつ最短で日本語教師として働くための資格を取得することができる検定なのです。
日本語が話せる方であればどなたでも合格を目指すことができる検定ですし、この試験に合格すれば日本語教師になることが可能です。なぜなら国内のほとんどの日本語学校では、教師は外国語習得を必要としない直接日本語で生徒に話しかけて教える「直接法」で教えているため、英語など別の外国語のスキルを必要としないためです。
日本語教師の資格を独学で取得する方法
ここまで読まれた方は、時間とお金を考慮した場合、できるなら独学で3の日本語教育能力検定試験を受けて資格を取得し、日本語教師になりたいと考える方が多いと思います。
しかし、はたして本当に、独学で試験を受けても大丈夫でしょうか? 少し心配な方のために試験の勉強方法について説明しましょう。まず、独学で取得する場合、勉強の方法は主に次の2つになります。
- 通信教育
- 書籍
通信教育で資格取得する
さきほどお伝えしましたが、専門学校などに通学することにくらべて費用がとても安く済むのが通信教育です。また420時間の養成講座の専門学校への通学とくらべると、日本語教育能力検定試験の通信講座は10万円前後の費用ですので大変リーズナブルです。
ここでは420時間養成講座と日本語教育能力検定試験、それぞれの通信講座を紹介します。
1. 420時間養成講座の通信教育(要:4大卒以上の学歴取得)
現在、たくさんの専門学校が文化庁基準を網羅した通信教育を行なっています。しかし通学は一切なし(通信教育のみ)で「法務省告示校の日本語教育機関」の定める教員資格を満たすことはできませんので、注意が必要です。
つまり理論部分はeラーニングなどの通信教育での受講は可能ですが、実技部分については通学(スクーリング)が必要となります。もちろんオール通学より、安価で手軽に420時間養成講座による日本語教師資格は取得できます。
アークアカデミー
- 講座名:420時間通信コース(スクーリングは7−9月)
- 費用、期間:420,000円、2年間
- URL:https://yousei.arc-academy.net/420corresp/
大手前大学
- 講座名:日本語教員養成課程(新基準)(在学中に教育実習を受講)
- 費用、期間:316,000円、1年間(大卒の場合で4年次に編入する場合)
- URL:https://dec.otemae.ac.jp/welcome/japanese/
資格の大原
- 講座名:日本語教師養成講座(理論編Webは通信、実践編、実習編は通学)
- 費用、期間:478,600円(大学生協等割引価格454,670円)、12ヶ月
- URL:https://www.o-hara.ac.jp/best/nihongo/course/general420.html
2. 検定試験対策の通信教育
やはり社会人の場合、日本語教師になるためには、420時間養成講座を受講するよりも、日本語教育能力検定試験を受けて合格を目指す方が、簡単な方法ですし、おすすめです。
以下の通信教育では、日本語教育能力検定試験にたくさんの合格者を輩出しています。費用や合格率などそれぞれに特徴がありますので、じっくり比較してみましょう。
アルク
- 講座名:NAFL 日本語教師養成プログラム
- 費用、期間:約100,000円、12ヵ月
- URL:https://ec.alc.co.jp/lp_n/product/nc/index.html
- 受講生合格率:57.4%(検定受験者平均は昨年25%)
ユーキャン
- 講座名:日本語教師養成講座
- 費用、期間:59,000円、8ヵ月
- URL:https://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/1450/
- 受講生合格率:不明
ヒューマンアカデミ
- 講座名:日本語教育能力検定試験 完全合格講座 eラーニングコース
- 費用、期間:141,000円、6ヶ月(標準)
- URL:https://ec.athuman.com/products/detail/146
- 受講生合格率:不明
書籍で勉強し、独学で資格取得する
もちろん専門学校や通信教育のカリキュラムを受講しなくても、とにかく日本語教育能力検定試験に合格すれば、日本語教師の資格を取得できます。
しかしまるっきり自力で勉強し合格することは可能でしょうか? 実は独学で合格された方も多くいらっしゃいますし合格体験記などもWebで探すと結構あります。
独学の場合の具体的な勉強方法を、順を追ってみます。
1. まず、試験の概要を把握する
最初に日本語教育能力検定試験の内容をきちんと理解しましょう。具体的には、独学で合格された方の体験談をネットで探す、検定試験の参考書を読んで概要を理解する、その上で学習プランを立てていきます。
なお、公式サイトであるJEES 日本語教育能力検定試験ホームページで試験問題が確認できます。問題を確認して試験のイメージをつかむとよいでしょう。
2. 試験問題の基本知識や周辺情報を習得する
最初に日本語教育とは?言語教育とは?といった、そもそもの知識を習得した上で、基本知識を身につけましょう。独学で試験を受ける方のための入門書がいくつか出版されています。
3. あとはひたすら問題集、過去問を解く
毎年、主催者団体が日本語教育能力検定試験問題を出版しています。最新の平成30年度の日本語教育能力検定試験問題は3月27日より発売されています。
過去問での勉強は試験対策の基本。繰り返し解いておきましょう。
検定試験対策のロングセラー(1):ヒューマンアカデミー
日本語教育能力検定試験に多くの合格者を輩出しているヒューマンアカデミー講師陣による、試験分野を1冊で学習できる解説書です。

日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第4版
- 作者: ヒューマンアカデミー
- 出版社/メーカー: 翔泳社
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- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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検定試験対策のロングセラー(2):アルク
長年、検定試験の解答速報や年度版ムック『日本語教育能力検定試験 合格するための本』の出版、検定対策セミナーなどを通し、試験の傾向や内容を常に分析してきたアルクによる本。過去4年分から、一流の執筆陣が作成した演習問題を選りすぐり、1冊にまとめた試験対策本です。
「無料」で日本語教師の資格取得する方法はある?
ハローワーク経由で420時間養成講座を受講する
雇用保険に加入していた失業者など、一定の諸条件を満たすことができれば、求職者支援の職業訓練の日本語教師養成コースが原則、無料で受講できます(多くは無料または教材費実費数千円程度のみ自己負担形)。
しかし定員がありますし、すべてのハローワークで講座が開催されているわけではありません。なお、その内容は、民間の日本語教師養成講座と同じです。
注意点は、民間の講座と同様に、420時間養成講座で日本語教師の有資格者となるには四大卒以上の学歴を取得していなければならないという点です。
無料で日本語養成講座を受講するその他の方法
日本語教育能力検定の基礎知識
日本語教育能力検定試験は、日本語教員となるために学習している方、日本語教育に携わっている方に必要とされる基礎的な知識・能力を検定することを目的とした試験です(JEESのWebページより)。
言い換えれば、日本語教育に関する知識が基礎的な水準に達してるか、それらの知識を関連付けて教育の現場で対応する能力が基礎水準に達している方を認定するための試験です。
日本語教育能力検定の内容
日本語教育能力検定の試験日は年に1回。これまでは毎年10月に実施されています。日本語教師能力検定試験は全部で240点満点、マークシート形式の試験です。
- 240点満点
- 問題形式:マークシート式(一部記述式あり)
- 試験時間:4時間。午前から開始で昼食をはさみ、午後まで
日本語教師能力検定試験は3部構成
日本語教師能力検定試験は以下の3部構成になっています。
試験Ⅰ
試験Ⅱ
試験Ⅲ
最短で日本語教教育能力検定資格試験に合格するには?
勉強時間は人それぞれ。一概には言えませんが、一般的には最短で3ヶ月で合格は可能と言われています。試験は年一回ですので、逆算すると、7月からの受験勉強で、10月試験、12月発表の半年が履歴書に書くまでの最短ルートと言えます。
勉強時間については、200時間、500時間といった風にさまざまな意見があります。ただ出題が広範囲な試験ですので、ある程度の学習時間は必須と言えます。
しかし、スキマ時間の2、3時間を使って日本語教教育能力検定資格試験の受験勉強をする社会人の方の場合は3ヶ月での合格はいささかハードと言えるでしょう。逆に、主婦や学生など1日あたり5、6時間くらい勉強時間を捻出できる人ならば、3ヶ月間の勉強で合格される方もいらっしゃいます。
今年の試験はどんな内容?
ここ数年でみると、日本語教育能力検定試験の大幅な試験内容の変更はありません。なお、今年10月に行われる試験についても、6月の時点で、2019年度、問題内容の大きな変更情報は出ていません。
なお日本語教育能力検定試験の合格率は約23〜25%です。毎年の合格最低点は公表されていませんが、正答率70%以上であれば、その年の試験の難易度にもよりますが合格圏内と言われています。出題範囲は広く、合格率から鑑みると各種試験の中では「やや難度の高い試験」とされています。
2019年度の試験の概要
- 出願期間:2019年6月24日(月)から8月13日(火)まで(当日消印有効)
- 試験日:2019年10月27日(日)9:00~16:40
- 受験料:10,800円(税込)
- 試験地(予定):札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡
- 合否結果通知の発送:2019年12月20日(金)
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