以前にご紹介した「日本語教師の資格化」の動きについて、文化庁が「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」を取りまとめ、広く国民からの意見募集を始めました。募集期間は令和元年11月13日(水)~12月13日(金)までの1カ月間。ぜひ、皆さんもどんどん文化庁に意見を送ってください。意見がどれだけ集まるかによって、日本語教育関係者の「本気度」が見られています。(地球人K)
意見は以下の9分類に分けて募集
パブリックコメント募集の詳細は以下の文化庁のホームページにあります。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/ikenboshu/nihongoiken_hanteihoukoku/index.html
意見は電子政府の総合窓口(e-Gov)のWebサイト上の「意見提出フォーム」から簡単に提出できます(上記からリンクあり)。郵送・FAX・電子メールでも提出できますが、「電話による意見の受付は致しかねますので,御了承ください」とのことです。
意見は以下の9分類に基づき記載することになっていますが、特に重要と思われるところ(赤字)について、ポイントを解説します。
「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」
1.資格制度創設の目的
2.資格制度の枠組み
3.資格取得要件1:試験
4.資格取得要件2:教育実習
5.資格取得要件3:学士
6.経過措置(「日本語教育機関の告示基準」に定められた教員要件を満たす者の取扱い)
7.更新講習の要件
8.日本語教師の資格の社会的な位置づけをどのようにすることが適当か
9.その他(詳細な検討が必要な事項について)
(1)試験について
(2)更新講習について
(3)試験免除等の措置について
2.資格制度の枠組み
・日本語教師の資格の名称は「公認日本語教師」とする。
・資格取得の要件を、①試験の合格、②教育実習の履修、③学士以上の学位の3つとする。
→これまでとの大きな違いは、簡単に言えばORからANDに変わることです。
【これまで】(現行の日本語教育機関の告示基準における教員要件):
次のいずれかに該当する者であること
・大学の日本語教師養成課程修了
・民間教育機関等の420単位時間日本語教師養成研修修了
・日本語教育能力検定試験合格
・上記と同等以上の能力があると認められる者
【これから】
公認日本語教師の資格を取るためには以下の3つがすべて必要
・試験の合格
・教育実習の履修
・学士以上の学位
→資格の有効期限も設けられます。「公認日本語教師」の資格の社会的位置付けについては、「名称独占の国家資格として制度を設計することが適当である」としています。もちろん、日本語を教える場所は地域の日本語ボランティア教室など含めて多様ですので、「公認日本語教師」以外の日本語教育人材が求められる場で教える際には、「公認日本語教師」の資格は必要ありません。ここは多くの方が不安に思われているところですが、ご安心いただきたいと思います。
6.経過措置
現行の法務省告示基準の教員要件を満たす者については、新たな資格となる公認日本語教師の要件を満たす者として、一定の移行期間を設け、公認日本語教師として登録を行えるようにする。
→現在、既に資格を持っている方(上記の【これまで】に該当する方)は、経過措置として、一定期間の間であれば「公認日本語教師」として登録できます。ここも非常に多くの方からのご質問が寄せられているところですが、ぜひご安心いただきたいと思います。
7.更新講習の要件
・更新を希望する日本語教師に対して10年間の有効期限を経過する前に、更新講習の受講を義務づけることとする。
・原則として公認日本語教師に更新講習の受講を必須とする。
→運転免許のように期限までに更新をしなければなりませんが、これは、たとえどんなに長いキャリアを持っている日本語教師であっても、たとえどんなに有名な日本語教師であっても、全ての「公認日本語教師」が対象になります。
「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」は、文化審議会国語分科会でずっと議論・検討されてきました。上記のポイント以外についても、ぜひ一度「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」を、最初から最後までお読みください(12ページ程度のものです)。その上で、9つの分類項目について、日本語教育関係者お一人おひとりが意見を表明し、自分事としてコミットすることが大切だと思います。私も日本語教育関係者の一人として、さっそく意見を提出しました。