令和元年度(2019年10月実施)日本語教育能力検定試験の結果が発表されました。それによれば、応募者数・受験者数・合格者数はいずれも過去最高を記録し、日本語教師を目指す人が大きく増えていることが分かりました。合わせて、令和2年度(2020年10月実施)の実施要項も発表されました。(編集長)【最終更新:2020年1月7日】
検定試験応募者は初めて1万人を突破
「令和元年度日本語教育能力検定試験結果の概要」によれば、応募者数・受験者数・合格者数は以下の通りです。( )は前年比です。
応募者数:11,699人(136%)
受験者数:9,426人(137%)
合格者数:2,659人(137%)
この数字はいずれも、これまで33回行われた日本語教育能力検定試験の中で最高の数字を記録しており、日本語教師を目指す人が増えていることが分かります。その一方、気になる合格率のほうは28.2%と相変わらず低く、前回の28.3%からほぼ変わっていません。
男女比:女性71%、男性29%
年代別比:20代以下:20%、30代:16%、40代:21%、50代:25%、60才以上:18%
受験回数比:初回:73%、2回目:17%、3回目:6%、4回目以上:4%
職業別比(数の多いもの):会社員:公務員・自営業等:37%、主婦/主夫:14%、日本語教員:14%
男女別、全ての年代、全ての受験回数において人数は増えているのですが、デモグラフィックな傾向はあまり変わっていません。しかしその中でも、50代以上の受験者の増加、初回受験者の増加は数字上に表れており、特に中高年で新規に日本語教師を目指す人が増えていることが見て取れます。
平均点等一覧から本試験を振り返る
「令和元年度日本語教育能力検定試験結果の概要」では、試験区分ごとの受験者数、平均点、標準偏差(得点のばらつき)、最高点、最低点なども明らかになっています。そこからは以下のようなことが分かります。
マークシート方式で答える問題は220点満点で最高点は202点でした。本試験受験者の中には、日本語教育を専門に研究している大学院生やキャリアの長い現職日本語教師なども含まれます。それほど知識・経験のある人でも1割程度は間違える試験なのです。改めて、「満点を目指す試験ではない」「できる問題を落とさない試験である」ことが分かります。
マーク式の試験Ⅰ、Ⅱ、Ⅲは配点が異なるので、配点に対する百分率で比較してみます。そうすると、高い順から以下のようになりました。試験Ⅲはマーク式と記述式に分かれます。
平均点:試験Ⅲマーク式(63.6%)>試験Ⅰ(62.4%)>試験Ⅱ(59.2%)
標準偏差:試験Ⅱ(13.8%)>試験Ⅰ(12.2%)>試験Ⅲマーク式(10.8%)
試験Ⅱ(聴解試験)の平均点が低く、標準偏差(得点のばらつき)の大きいことが分かります。つまり、試験Ⅱは受験者の中で差がつきやすく、聴解Ⅱで点数が取れるかどうかが、合否を分けるポイントの一つになります。
さらに得点差がつきやすいのが、試験Ⅲの記述式です。試験Ⅲの記述式の平均点は試験Ⅱを下回り、標準偏差の配点に対する百分率は試験Ⅱより大きくなっています。
平均点:試験Ⅲ記述式(51.6%)
標準偏差:試験Ⅲ記述式(17.7%)
合否を分けるもう一つのポイントが、記述式になることが分かります。これらは、「解答速報アンケートから分かった検定受験者の苦手分野と克服法」の記事の内容と合致します。
令和2年度の日本語教育能力検定試験
そして早くも、令和2年度の日本語教育能力検定試の概要が主催団体のJEES(公益財団法人 日本国際教育支援協会)から発表になりました。
【出願期間】 2020年6月22日(月)から8月3日(月)まで(当日消印有効)(予定)
【試験日】2020年10月25日(日)9:00~16:40
【受験料】10,800円(税込)(予定)
【試験地(予定)】札幌、仙台、東京、愛知、大阪、広島、福岡
【合否結果通知の発送】2020年12月25日(金)(予定)
出願期間が前回より若干早まっていますのでご注意ください。年末・年始は、いつもよりまとまった時間が使える方も多いと思います。受験を予定されている方は、来年の今頃の自分を想像して、少しずつ準備を始めましょう。
令和元年度日本語教育能力検定試験結果の概要/令和2年度日本語教育能力検定試験実施要項
http://www.jees.or.jp/jltct/index.htm