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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

外国人日本語学習者が感じる、日本語の不思議

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外国人にとって日本語はとても難しい言語です。英語とは文法が全く違いますし、言葉の意味を理解しても、使い方によって全く違った意味になったりします。フィリピン出身で日本の大学に留学中、日本語学習歴3年のアルダさんが、日本語の使い方の難しいところや不思議に思うところを紹介します。

どんな時にでも使える「やばい・かわいい・すみません」

「やばい」「かわいい」「すみません」などの言葉は、日本人が頻繁に使う言葉なのでよく耳にしますが、その使い方はさまざまなので、どんな時に使う言葉なのかがはっきり分かりません。例えば、いいことがあった時や嬉しい時に「やばい」を使います。しかし困った時にも「やばい」を使います。外国人には、どちらの意味で使われているのか分からず混乱します。

「かわいい」と「すみません」も同じです。日本人は本心では思っていなくてもお世辞として「かわいい」をよく使います。そのため、外国人は「かわいい」の使い方に混乱し、どんなものに対しても使えると思ってしまいます。
また、申し訳ないと思っていない場合にも「すみません」をよく使います。例えば、知らない人に話しかける前に「すみません」と初めに言ってから用件を伝えます。しかし、申し訳ないと思い謝る場合も同じように「すみません」と言います。

使い方の難しいこのような微妙な日本語を、カタコトしか話せない外国人が使うと、日本人はとても感心してくれます。仲良くなるきっかけとして、これらの言葉を使うのも日本語上達への近道かもしれません。

少しの違いで意味が全く異なる「(かわいい)と(こわい)・(さわる)と(すわる)」

英語と共通した文法がない日本語は、その難しさだけでなく発音もとても難しい言語です。自分では正しく言ったつもりでも発音が難しくて、間違うと意味が正反対になってしまう場合にとても困ります。
例えば、(すわる)と(さわる)です。外国人がベンチに座りたい場合に、すでに座っている日本人に「すみません、さわっていいですか?」と聞いてしまったら大問題です。同じように、「とてもかわいい」と言いたかったのに「とてもこわい」と言ってしまったら、これも相手に対して失礼ですよね。これらの間違いは外国人にとって日本語は難しくて不思議な言語だと思わせています。

「わくわく・びしょびしょ・ぐっすり」など、日本語オノマトペ

世界にもオノマトペはたくさんありますが、日本語のオノマトペは自然の音などから作られていて、その表現は可愛く感じます。例えば、ネズミの鳴き声は英語で「squeak」と言いますが、日本語だと「ちゅーちゅー」になります。日本語で表すと、印象も可愛くなります。さらに日本語のオノマトペで不思議なのは、人の感情を表現するものがあることです。「ぐたぐた」、「ぐったり」などの言葉は、疲れていることを表現しますが、英語にはそのような表現はありません。「tired」「be exhausted」などと疲れ具合を表す単語はありますが、オノマトペはありません。そのため、日本語で初めて聞いても置き換えるものがなく、慣れるまで時間がかかるのです。

地方に行くと全くわからなくなる「方言」に困る

日本語を学ぶ場合には、標準語で学びます。標準語で学ぶにもとても難しい言語ですが、方言になるとさらに分からなくなってしまいます。日本各地に旅行したいと思う外国人も多いですが、日本語が喋れると思って地方に行くと方言で話され、習った日本語が使えなくなってしまうことがよくあります。例えば、大阪弁は方言が強く聞き取れなくなります。さらにもっと遠くの東北や九州などに行くと、特に高齢者は方言が強いので、外国人には全く理解できません。

日本人でも分からない人がいるそうなので、外国人が理解するのは不可能に近いです。

失礼にならないか不安!複雑な敬語に困る

外国人学習者にとって、「敬語」の使い方は本当に難しいです。肯定文や疑問文だけでもとても難しい日本語ですが、敬語には丁寧語、尊敬語、謙譲語があります。また、英語には「敬語」にあたるものがないので、多くの外国人が壁にぶつかります。例えば、はじめて敬語を学ぶ場合、「食べる」「いただく」「召し上がる」の3つの言葉は一緒の意味ですが、どれを誰に使うべきかすぐに判断ができず難しいです。他にも、「です」「でございます」は意味は同じですが、相手によって使い方を変えます。これらは外国人にとってとても不思議なことで、目上の人に失礼にならないか不安になります。

同じじゃないの?「(は)と(が)」「(に)と(へ)」

助詞の「(は)と(が)」「(に)と(へ)」。これらの助詞の使い方は、日本人でも説明が難しいと聞きました。日本人でもうまく説明できないことを、外国人が理解するまでには、きちんとした説明を受け使い方を練習することが必要です。
例えば、「どこにいきますか」と「どこへいきますか」というの2つの文章は同じような意味ですが、一般的に「どこにいきますか」をより使います。私が日本人の友達に「じゃあ(へ)はなぜ使わないのですか」と聞くと、答えは「なんとなく「に」なんだよね」と言われることが多いです。また、「どこいく?」という風に、「へ」も「に」も使わないことも多く、混乱してします。

日本語は外国人学習者にとって本当に複雑で難しい言語です。その言語で育ってきた日本人には分からない、不思議に思う点が日本語にはいくつもありますが、その不思議なところが魅力的でもあり、日本語を学びたいと思うのです。