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日本語教師になろう!―活躍するフィールドは日本だけじゃない

日本語教師になるからには、一度は海外で教えてみたい! または、海外で仕事をするために日本語教師を目指した! という人もいるのではないでしょうか。でも、どうやったら海外で教えられるの? 経験は必要? 収入は? ビザは? わからないことも多いですよね。今回は海外で日本語を教えようとしたとき、どんなケースが考えられるのか、その際の注意点などについてご紹介しましょう。さらに実際の海外経験者の方のアドバイスもお届けします。

海外で日本語を教えるには

国際交流基金の調査によると、現在世界142の国と地域で約385万人の学習者が日本語を学んでいるそうです。ということは日本語教師にとって、それだけの職場が開かれていると考えてもよいのかもしれません。海外で教えることこそが日本語教師の醍醐味と考える方もいるでしょう。日本語教師養成講座を受講中の方や、経験が少ない日本語教師の方が海外で教えるには、どのような方法があるのかまとめてみます。

①養成講座や勤務している日本語学校からの紹介

海外に提携校を持っている日本語学校の場合、経験が浅い人や未経験でも派遣される場合があります。送り出し校からのさまざまなアドバイスがもらえるというメリットがあります。

②公的な日本語教師募集に応募する

代表的なプログラムはJICA(国際協力機構)海外協力隊です。69歳まで応募できますが、日本語教育の一般案件では2年から3年の経験が必要です。他に経済連携協定(EPA)日本語予備教育事業のための国際交流基金の日本語講師募集や、日露青年交流センターの日本語教師募集などがあります。これらは条件を満たせば教授経験はあまり問われないようです。

③求人サイトで見つける

日本語教師求人サイトには海外の教育機関の募集も掲載されています。教授経験を求められる場合が多いですが、大学や養成講座での実習経験でも可というところもありました。

④人材派遣会社に登録し、そこから海外の教育機関に派遣される

必要な条件を満たせば、教授経験がなくても可能な場合が多いです。

⑤知人や先輩からの紹介

既に海外の日本語教育機関で教えている方や教育機関を運営している方からの勧誘というのも、少数ですがあります。

このほかには海外でのインターンシップという形もあります。どうしても海外へ行きたいという場合には選択肢の一つだと思いますが、日本に戻って国内の日本語学校で教えようとした時に、インターンシップでの経験は経験として考慮されない場合があるので、その点は注意してください。

憧れの海外! でも、ココだけは要チェック

海外の教育機関で教える際の資格については、国内の日本語学校の場合とあまり変わりありません。つまり「1.大学で日本語教育を専攻。2.日本語教師養成講座(420時間)を修了。3.日本語教育能力検定試験に合格。」このいずれかを満たしていることです。しかし海外で教える場合、学士以上(つまり大卒以上)を求められることが多いです。中には修士以上でないと応募できないケースもあります。ですので、もしどうしても海外で教えたいと思っている人は、通信教育でもよいので学士の資格を取っておくことをお勧めします。国によっては大学の卒業証明書がないとビザの申請ができない場合もあります。

そして「憧れの海外に行ける! うれしい!」という気持ちだけで決めずに、しっかりとした派遣先を選んでください。たとえば現地での報酬は? ビザ取得費、渡航費はどちら持ち? 保険は? 住居は? 労働時間は? 休暇は? 日本に一時帰国できる? 等々。事前に確認できることは確認しておきましょう。曖昧なままにしておくと、現地に行ってから「こんなはずじゃなかった」ということにもなりかねません。事実そのような理由で海外経験がうまくいかなかった方の例も見てきました。

もちろん海外には日本とは違う文化、習慣があります。「郷に入れば郷に従え」の精神で、日本とは違う暮らしを楽しむ余裕もお忘れなく。

海外での暮らしはどんなもの?

今回このコラムを書くにあたって、海外で日本語を教えた経験のある4人の方にお話を伺いました。

Y.Wさん(日本語学校で5年ほど勤務したのち、青年海外協力隊で中国寧夏回族自治区の大学に赴任)

A.Sさん(日露青年交流センター日本語教師派遣事業でロシアの大学に赴任。大学の外国語授業だけでなく、一般公開講座も担当。)

T.Wさん(現地で教えている先輩の紹介でタイの教育大学へ。人文社会学部日本語科で指導。)

N.Mさん(人材派遣会社に登録、大手学習塾のベトナム校で教えるためにハノイへ。その後、ベトナム国家大学日本語科でも指導)

Y.Wさん以外は、養成講座を修了したり検定試験に合格したりはしていたものの、実際に日本語学校で教えた経験はないまま、海外へ飛び立ったそうです。

―教えている時に困ったことは?

「未経験だったため、授業準備も課題の添削もすべてが試行錯誤」「経験ゼロだったが、周りに日本人教師がおらず、授業に関して相談したりフィードバックをしたりしてもらえる機会がなかった」

「現地では日本語教育の教材がほとんど手に入らないので、日本から持参するか送ってもらう必要があった」「日本語だけでなく日本の文化や習慣についても聞かれるので、勉強しておく必要があった」

―生活面でのアドバイス

皆さん、はじめは気候、食べ物、水に慣れなくて体調を崩したり、生活に不便を感じたりしたこともあったようですが徐々に慣れていったそうです。

ロシアで暮らしたA.Sさんはお湯が出なくなった時に、コンロで沸かしたバケツ1杯のお湯でシャワーを浴びる方法も学んだそうです。たくましいですね。またY.Wさんは、当時現地には日本食やファストフードがなかったので、それらが無性に食べたくなる時期があって困ったそうです。(私からのアドバイスは、白米さえあれば日本食になるもの=ふりかけ等を持って行くことです!)「日本とは文化や習慣の違う環境で仕事をすることを楽しめなければ海外生活は難しい。仕事のやり方にしても住環境にしても日本と同じレベルを求めると、不満ばかりが募ることになりかねない」とはN.Mさんの言葉です。

―海外で日本語を教えて良かったことは?

「創意工夫、臨機応変な対応力が身についた。」「どんな環境でもなんとかできる力、工夫する力がついた。」「現地の方々とつながりが持てたこと。その関係は10年ほどたった今でも続いている。海を隔てた場所に友人や仲間がいることは自分にとっての財産。」「海外での様々な経験は物事の見方や自分の人生を大きく変えるものとなった。」

先輩たちからのアドバイス

現在はそれぞれ日本語学校の主任教師、専任教師として活躍している4人の方々から、これから海外で教えることを考えている方へのアドバイスです。

「異文化体験を楽しむことは、後に日本語教師としての引き出しになると思います。それと同時に自分なりのリラックス法を確保することも大切。無理! 無駄! と初めから決めてしまわず、できる方法を模索することで、日本では養えない教授力や人間力が身につくと思います」「働き方や考え方の違いで腹を立てたりストレスを感じたりすることはあるかもしれませんが、日本語教師としてのパフォーマンスが落ちないように工夫してください。日本でも海外でも辛いこと楽しいことは同じようにあるので、できるだけ楽しめるように」「ただ日本語を教えたい! 海外へ行きたい! ではダメ。どこでどんな人にどうやって教えるのか、具体的な見取り図を描いて出発しよう!」「海外へ行こうという気持ちがあるけれど、不安でなかなか一歩を踏み出せない方へ。海外で生活し仕事をすることは、行く前に考えてしまう不安を吹き飛ばすほどの経験値、人脈、自分の成長の機会を得ることができます。迷っている方がいたら是非一歩踏み出してみてください」

仲山淳子/執筆

日本語教師歴30年のフリーランス日本語教師。非常勤講師として長きにわたり留学生への日本語指導や日本語教師養成講座に携わったのち、フリーランスに転身。現在は企業研修やプライベートでの日本語指導だけでなく、日本語ボランティア教師養成講座の講師、e-ラーニング教材の開発等、多方面で活躍中。約20年前に所属していた日本語学校から派遣され、韓国企業の研修所で3か月間日本語研修を担当。

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