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日本語教育能力検定試験に合格するための「戦略」~対策は「出る順」で

令和2年度の日本語教育能力検定試験は、当初の予定通り10月25日(日)に開催されることになりました。今年は新型コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれていたこともあり、受験される方の中には不安をお持ちの方、まだ十分な試験準備ができていないという方もいらっしゃるかもしれません。そこで、そのような皆様のために、日本語教育能力検定試験の過去3年分の傾向分析し、本試験に向けて参考になりそうなことをお伝えしたいと思います。今回はこれまでの出題傾向から合格点に達するための「戦略」を考えてみます。(新城宏治)

文法と音声を仕上げることを優先的に

まずは、改めて発表されている試験の水準と構成を見てみましょう。

試験の水準

日本語教育に携わるにあたり必要とされる基礎的な知識・能力

試験の構成
  • 科目:試験Ⅰ/解答時間:90分/配点:100点

原則として、出題範囲区分ごとの設問により、日本語教育の実践につながる基礎的な知識を測定する。

  • 科目:試験Ⅱ/解答時間:30分/配点:40点

試験Ⅰで求められる「基礎的な知識」および試験Ⅲで求められる「基礎的な問題解決能力」について、音声を媒体とした出題形式で測定する。

  • 科目:試験Ⅲ/解答時間:120分/配点:100点

原則として出題範囲区分横断的な設問により、熟達した日本語教員の有する現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定する。

「基礎的」という言葉が繰り返し出てきます。試験では、高度で応用的な問題は出題されず、あくまで基礎的な知識や現場対応能力の有無を見ることになっています。これは試験の目的にも明記されています。

次に出題範囲を見てみましょう。出題範囲には、「主要項目」のうち、「基礎項目」は優先的に出題される。ただし、全範囲にわたって出題されるとは限らない」と、はじめに注意書きがあります。5区分にわたって「基礎項目」があるので、すべての区分から同じぐらいの分量の問題が出てくるのではないかと思ってしまう方もいらっしゃるのですが、ここは注意が必要です。

まず、5区分で圧倒的に出題されるのが「5言語一般」「日本語の構造です。特に文法と音声・音韻については、圧倒的に出題量が多いので優先的に対策をする必要があります。感覚的には試験勉強の時間の半分は文法と音声・音韻に割くべきだと思います。次に重要なのは「4言語と教育」です。特に「言語教育法・実技(実習)」からよく出題されます。改めて過去3年分の問題を分析した印象からすると、あくまで出題量から考えた場合の試験対策の優先順位は、
区分5(特に文法と音声・音韻)>区分4>区分3と区分2>区分
のような感じではないかと思われます。特に初めて受験される方の中には区分1から順番にコツコツ勉強される方がいらっしゃいますが、むしろ逆に区分5から対策を始めて、特に文法と音声を徹底的に仕上げておくことをお勧めします。

7つの頻出トピック

次に、直近3年でよく出題されたトピックを出題年・問題番号と合わせて挙げておきます。ここに挙げたトピックは、次回の試験にも出題される可能性は高いと思われます。

  • EPA(令和元Ⅰ問題14、H29Ⅰ問題14など)

EPA候補者をどの国からどのような在留資格で受け入れているのか、候補者はいつ日本語の勉強をして、どのタイミングでどのような国家試験を受けるのかなど確認しておきましょう。

  • やさしい日本語(令和元Ⅰ問題12、H29Ⅲ問題7など)

どういうきっかけで生まれ、どのような特色があるのか、現在どのようなところで使われているのかなど確認しておきましょう。役所の通知などを一度自分で「やさしい日本語」に書き換えてみるといいと思います。

  • 第二言語習得(令和元Ⅰ問題10、H30Ⅰ問題9、同Ⅰ問題10、H29Ⅰ問題9など)

第一言語習得と第二言語習得の違い、第二言語習得理論に至るまでの変遷、誤用、学習ストラテジー、クラッシェンの5つの仮説、記憶とワーキングメモリなど、重要な用語がたくさんありますので、しっかり整理しておきましょう。

  • 待遇・敬意表現(令和元Ⅲ問題12、H30Ⅲ問題14など)

海外で生まれたポライトネス理論について、また日本語の敬意表現や敬語の5分類について、具体的にどういう敬語がどのように分類されるのか、また日本語教育の現場ではどのように扱われるのかなど確認しておきましょう。

  • 日本語指導が必要な児童生徒(令和元Ⅲ問題11、H30Ⅰ問題11、同Ⅲ問題10、H29Ⅲ問題15など)

発表されている数値や推移、文部科学省の施策などについて確認しておきましょう。また、第二言語習得と関連が深いことから、バイリンガルやBICSとCALPなどと合わせて出題されることも多いです。

  • 日本語のテスト(令和元Ⅲ問題15、H30Ⅲ問題8 、H29Ⅰ問題4など)

基本的なテスト理論と合わせて、現在行われている日本語のさまざまなテストの名称や特色・内容について整理しておきましょう。

  • 著作権(令和元Ⅰ問題7、H30Ⅲ問題5など)

日本語教師にとって著作権の知識は重要です。授業や教材作成、e-learningなどにおいて、どういう場合に著作権の侵害になる/ならないのかを確認しておきましょう。

受験される方の中にはお仕事をお持ちであったり、家庭のことがお忙しかったりして、十分な対策の時間が取れない方もいらっしゃると思います。むしろそういった方のほうが多いかもしれません。そういった方には特に、「出る順」で優先度をつけて効率的に対策されることをお勧めします。皆さんのご健闘をお祈ります!

執筆:新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の良さを世界に伝えたいと思っている。

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