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日本語教育能力検定試験に合格するための「戦術」~試験Ⅰ問題3への対処

令和2年度の日本語教育能力検定試験は、当初の予定通り10月25日(日)に開催されることになりました。今年は新型コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれていたこともあり、受験される方の中には不安をお持ちの方、まだ十分な試験準備ができていないという方もいらっしゃるかもしれません。そこで、そのような皆様のために、日本語教育能力検定試験の過去3年分の傾向分析し、本試験に向けて参考になりそうなことをお伝えしたいと思います。特に今回は、易しい問題を落とさないための「戦術」を考えてみます。(新城宏治)

配点から考える戦術

日本語教育能力検定試験の性格については、以前に「日本語教育能力検定試験の受験者が過去最高を記録」にも書きましたが、一言で言えば、「満点を目指す試験ではない」「できる問題を落とさない試験である」ということになります。その理由は、前回試験の「令和元年度日本語教育能力検定試験結果の概要」からも見えてきます。マークシート方式で答える問題は220点満点で最高点は202点でした。本試験受験者の中には、日本語教育を専門に研究している大学院生やキャリアの長い現職日本語教師なども含まれますが、どれだけ知識・経験のある人でも1割程度は間違える試験なのです。それほどに幅広い知識が問われる難しい試験だとも言えます。

この、「満点を目指す試験ではない」「できる問題を落とさない試験である」という2つの性格を踏まえた時に大切なのは、精神力(メンタル)、体力(フィジカル)・時間(タイム)の3つのセルフコントロール力ではないかと思います。本番では「難しい問題にこだわらない(捨てる)」勇気をどれだけ持てるか、言い換えれば、集中力があるうちに、できる問題をどれだけ解き終えられるかが大切になります(これはあくまで試験当日の「戦術」に限った話であり、試験前まではいろいろな疑問にこだわり、参考書やWEBで分からないことを徹底的に調べたり、いろいろな人と意見交換したりすることはとても有益です。念のため)。

ちなみに、試験Ⅰは問題数100問で100点満点、試験Ⅱは問題数40問で40点満点です。試験Ⅲのマークシートは問題数80問で記述式を入れて100点満点ですので、単純に考えれば、マークシートは1問1点、記述式は20点と考えられます。仮にそうであるなら、前述の「難しい問題にこだわらない(捨てる)」が、やはりとても重要なります。なぜなら、誰でも解けるような易しい問題も、あれこれ考えてもすぐに答えが分からないような難問も同じ配点なら、試験時間は確実に得点を重ねることに使うべきなのです。

試験の種類・形式から考える戦術

試験Ⅱは聴解試験で、音声とともに試験が始まり、音声が終わると試験も終わりますので、時間のかけ方を工夫する余地はありません。注意しなければならないのは、試験Ⅰ、Ⅲと異なり、試験Ⅱは音声が終わったところで試験も終了、後で回答を書き写すような時間はありませんので、回答は直接マークシートに記入するようにしましょう。

試験Ⅲは試験時間が2時間といちばん長いのですが、基本的に5問セットの大問が16個延々と続き、最後に記述式問題があります。ペースとしては、大問1つにつき5分大問16個=80分、記述式に20~30分、全体の見直しに10~20分といった時間配分が一般的ではないかと思います。ポイントは難しい(すぐに答えが分からない)問題が出てきたら、即座にスキップするということです(もちろん、最後の見直しの時には何かしらの番号をマークしておきます)

工夫が必要なのは試験Ⅰです。試験Ⅰの試験時間は90分で、問題数は合計100問ですので、1問1分弱という目安を考えていらっしゃる方も多いかもしれません。しかし、今回、この原稿を書くにあたって、改めて過去3年分の試験問題を分析してみて感じたのは、問題には難易度の差がかなりあり、そう単純には考えられないということでした。

試験Ⅰの問題3への対処がカギ

言うまでもなく試験Ⅰは最初の試験ですので、ここでしくじると、精神的にも午後の試験Ⅱ、試験Ⅲに影響する恐れがあります。試験Ⅰは以下のような内容・形式です。

問題1(15問):5択から性質の違うものを1つ選ぶ問題。
問題2(5問):学習者の誤用の中から異なる種類の誤用を選ぶ問題
問題3(20問):特定のトピックについて5問4大問
問題4~問題15(60問):出題範囲区分の主要項目単位で5問12大問

問題1、2は、試験の最初ということもあり比較的易しく、テンポよく解ける問題が並んでいます。恐らく1分以内で解ける問題が多いと思います。また、仮に分からなくても1~2問ぐらい飛ばすことは精神的にもそれほど負担になりません。特に問題2は全問正解することも可能です。

それに比べて問題3の中には、かなり難しい問題が潜んでいました。これに悩んでしまうと、あっという間に貴重な試験時間を相当使ってしまいます。しかも、5問並んでいる中で最後の問題が難問というわけでもなく、突然難問が登場したりしますので、受験される方は自分が解いている問題が難問なのかそうでないのか(飛ばすべき問題なのかどうか)の判断がつかないと思います。ここで焦りが生じます。

問題4~問題15は主要項目単位で5問セットの大問が出題されますので、問題1、2のようにテンポよく解き進められます。誰にでも得意(あるいは好きな)分野と、苦手な分野はありますので、仮に解けない問題が数問あって飛ばしたとしても、精神的にはそれほど負担にはならないと思います。

こうして見てみると、試験Ⅰのポイントは問題3にどう対処するかということになりそうです。方法は大きく2つ考えられます。

①問題3を最後に回す方法
開始→問題1→問題2→問題4……→問題15→問題3→飛ばした問題をマーク・見直し→終了

②順番通りに解きながら、問題3に難しい問題が出現したら飛ばす方法
開始→問題1→問題2→→問題3→問題4……→問題15→飛ばした問題をマーク・見直し→終了

いずれにしろ、「問題3には難問が潜んでいる可能性がある」「問題3が解けなくても気にしない」「問題3にすぐに答えが分からない問題が出てきたら、即座にスキップする」ことを、頭の片隅に置いておいていただけると、精神的にも若干楽なのではないかと思います。皆さんのご健闘をお祈りします!

執筆/新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の良さを世界に伝えたいと思っている。

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