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日本語教育能力検定試験の試験Ⅱ(聴解試験)が合否を分ける

令和2年度の日本語教育能力検定試験は、当初の予定通り10月25日(日)に開催されることになりました。今年は新型コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれていたこともあり、受験される方の中には不安をお持ちの方、まだ十分な試験準備ができていないという方もいらっしゃるかもしれません。そこで、そのような皆様のために、日本語教育能力検定試験の過去3年分の傾向分析し、本試験に向けて参考になりそうなことをお伝えしたいと思います。今回は聴解試験対策を考えてみます。(新城宏治)

得点差が付くところ=合否を分けるところ

日本語教育能力検定試験は試験Ⅰ、Ⅱ(聴解試験)、Ⅲのマークシート問題と試験Ⅲの最後にある記述式問題から構成されています。前回試験の「令和元年度 日本語教育能力検定試験 結果の概要」見ると、試験Ⅰ、Ⅱ、Ⅲについて受験者の「出来具合」が分かります。試験Ⅰ、Ⅱ、Ⅲは配点が異なるので、配点に対する百分率で比較してみます。そうすると、高い順から以下のようになりました。

平均点:試験Ⅲマークシート問題(63.6%)>試験Ⅰ(62.4%)>試験Ⅱ(59.2%)

標準偏差:試験Ⅱ(13.8%)>試験Ⅰ(12.2%)>試験Ⅲマークシート問題(10.8%)

試験Ⅱは平均点が低く、標準偏差(得点のばらつき)の大きいことが分かります。つまり、試験Ⅱは受験者の中で差がつきやすく、聴解Ⅱで点数が取れるかどうかが、合否を分けるポイントの一つになります。

試験Ⅱはすべて音声を聞いて答える問題ですが、問題1~3の音声学に関する問題と、問題4~6の教室活動や教材、文法等について音声を聞いて答える問題に分かれます。問題1が始まる前、例題が読み上げられている時間、問題と問題の合間の時間を有効に使いましょう。問題が読み上げられる前に、できるだけ問題1~3の選択肢や、問題4~6の問題文・イラスト・選択肢などに目を通しておくことをお勧めします。

問題1~3はパターンをつかんで失点を防ぐ

問題1~3は、以下のような同じパターンの問題が毎年出題されますので、対策を立てやすいところです。

問題1:アクセント形式の問題が6問。

問題2:「拍の長さ」「プロミネンス」「アクセント」「イントネーション」などについて、学習者の発音上の問題点を選ぶ問題が6問。

問題3:「調音点」「調音法」「舌の前後位置や高さ」「声帯振動の有無などについて、学習者の発音上の問題点を選ぶ問題が8問。前半3問が口腔断面図を使用した問題。後半5問が文字で書かれた選択肢から選ぶ問題。

問題1の6問は、1番2番が6拍、3番4番が7拍、5番6番が8拍という拍数まで毎回同じです。後ろにいくにつれて拍数が多くなり(長くなり)、かつスピードも若干早くなるような傾向があります。4択のアクセント形式(音の高低)の異なるところを事前にチェックしておき、特にそこに意識を集中させて聞けば、ほぼクリアできるのではないかと思います。

問題2は、「拍の長さ」のパターンは、促音の有無(例:「まって」と「まて」)、撥音の有無(例:「よんだ」と「よだ」)、長音の有無(例:「コーヒー」と「コヒー」)の3つです。また、プロミネンス強調されている部分の違いですので分かりやすいと思います。「アクセント」単語の中の音の高低、「イントネーション」は句末・文末の上がり下がりです。

問題3が苦手な方は、まず狙われやすい①「(無声歯茎硬口蓋摩擦音)」②「(有声歯茎硬口蓋鼻音)」③「(無声両唇摩擦音)」の3つから確認してみましょう。以下、頻出パターンです。

  • シ→ジ(声帯振動:無声→有声)、シ→ス(調音点:歯茎硬口蓋→歯茎)、シ→チ(調音法:摩擦音→破擦音)、シ→キ(調音点・調音法:歯茎硬口蓋摩擦音→軟口蓋破裂音)
  • ニ→ヌ・ネ(調音点:歯茎硬口蓋→歯茎)、ニ→ジ(調音法:鼻音→摩擦音)
  • フ→ブ(声帯振動・調音法:無声摩擦音→有声破裂音)、フ→ヒ(調音点:両唇→硬口蓋)、フ→ム(声帯振動・調音法:無声摩擦音→有声鼻音)

また、母音(ア・イ・ウ・エ・オ)の前後位置や高さ、が円唇母音であることも、よく出題されますので確認しておきましょう。

問題4~6は専門用語を事前にしっかり確認しておく

問題4は学習者の音声または学習者と教師などとのやりとりを聞いて、学習者の音声の特徴・問題点やそれに対する教師などの対応を問う問題です。音声的な問題点が問われる場合もありますし、文法などの問題点が問われる場合もあります。

問題5は聴解教材を聞いて、その教材の課題を指摘する能力が問われます。聴解問題に自分が答えるのではなく、聴解教材として客観的に分析する能力が求められますので注意しましょう。これまであまり学習者向けの聴解教材を聞いたことがない人は、例えば以下のようなホームページで事前に聴解教材を聞いて、慣れておくといいと思います。

https://www.jlpt.jp/samples/forlearners.html

問題6は学習者の主に文法上の誤りを指摘する問題ですが、選択肢の専門用語の意味が分からないばかりに答えられない人がいます。これは非常にもったいないので、よく出題される用語については、事前にしっかりと意味と内容をチェックしておきましょう。「テンス」「ヴォイス」「アスペクト」「モダリティ」「ダイクシス」「助詞の種類」「主題化」「自動詞と他動詞」「敬語の5分類」などがよく出題されます。

受験される方の中に、時々聴解試験の対策を後回しにされる方がいらっしゃいます。また最後まで苦手意識を持っていらっしゃる方もいらっしゃるのですが、聴解試験で点数が取れるかどうかが、合否を分けるポイントの一つになります。対策をすれば、他の試験科目以上に点数を積み上げやすいところです。ぜひ、しっかりとした試験準備をされることをお勧めします。皆さんのご健闘をお祈ります!

執筆/新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の良さを世界に伝えたいと思っている。

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