10月25日(日)に全国で令和2年度の日本語教育能力検定試験が行われました。今年は新型コロナの影響があり、出願期間等に変更がありましたが、そんな中でも無事試験が実施できて本当に良かったと思います。主催団体および関係の皆様のご尽力は大変なものだったのではないかと思います。改めて今回の試験について振り返ります。(編集部)
新型コロナの影響による寒さ対策が必要
試験日の10月25日(日)は、北日本や北陸では曇り空でしたが、その他の地域では概ね晴れの天気で、気温も平年並みでした。東京は気持ちのいい秋晴れで、朝9時の気温は16℃、午後には20℃を越えました。
新型コロナの影響もあったせいか、試験会場が例年と大きく異なる試験地もありました。東京も今年は早稲田大学戸山キャンパス・西早稲田キャンパス、東京外国語大学府中キャンパス・神田外語学院・東京電子専門学校・明治学院大学横浜キャンパスなど、多くの会場に分かれました。
その一つの東京外国語大学府中キャンパスでは、試験会場の研究講義棟の前に検温のための非接触型温度計を持った運営係員の人たちが待機して受験者の体温を測り、建物の入口には消毒用アルコールが置かれ、教室に入る際には「自己ヘルスチェック表」を提出、座席も間隔を空けて座るなど、念入りな新型コロナ対策が取られました。
また、換気のために建物の入口や教室のドアを全て開け放って試験が行われました。そのため、当日の東京は平年並みの気温ではあったものの、正直かなりの寒さを感じました。会場内ではマフラーをしたまま受験している人などもいました。体感温度は人によってさまざまだと思いますが、来年以降受験される方は、特に防寒対策(外套、膝掛けなどの準備)を十分にされることをお勧めします。
幸い、午前中の試験Ⅰが終わって昼食を食べて少し体が温まった後は、午後の試験Ⅱ(聴解試験)は隣の教室の音声が入らないように教室のドアを閉めて試験が行われましたので、寒さを感じることはありませんでした。
試験形式は変わらず、オーソドックスな設問が目立つ
肝心の試験のほうですが、問題は基礎的でオーソドックスな設問が多かったように感じました。過去の試験問題と似た問題もいくつか見かけました。これは出題範囲の中で「主要項目のうち、『基礎項目』は優先的に出題される」と明確に書かれていますので当然ではありますが、改めて過去問を解いておくことの重要性を感じました。もちろん、過去数年の過去問の中では見たこともなかったような用語も見かけましたが、そういった用語も問題文をじっくり読めば見当がつくように設問は作られていたように思います。
試験の問題数、形式等は以下の通りで、例年と変わりありませんでした。
試験Ⅰ
問題1(15問):5択から性質の違うものを1つ選ぶ問題
問題2(5問):学習者の誤用の中から異なる種類の誤用を選ぶ問題
問題3(20問):特定のトピックについて5問×4大問
問題4~問題15(60問):出題範囲の区分の主要項目単位で5問×12大問
試験Ⅱ
問題1(6問):アクセント形式の問題
問題2(6問):「拍の長さ」「プロミネンス」「アクセント」「イントネーション」などについて、学習者の発音上の問題点を選ぶ問題。「特殊拍の種類」という選択肢がお目見えしました。
問題3(8問):「調音点」「調音法」「舌の前後位置や高さ」「声帯振動の有無」などについて、学習者の発音上の問題点を選ぶ問題。前半3問が口腔断面図を使用した問題。後半5問が文字で書かれた選択肢から選ぶ問題。
問題4(6問):学習者の音声または学習者と教師などとのやりとりを聞いて、学習者の音声上の特徴・問題点やそれに対する教師などの対応を問う問題。
問題5(6問):聴解教材を聞いて、その教材の課題や特色などを指摘する問題。
問題6(8問):学習者の主に文法上の誤りを指摘する問題。
問題Ⅲ
5問セットの大問が16個で80問。最後に記述式問題。
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アルクの日本語編集部は、毎年、日本語教育能力検定試験の解答を作成し、公開しています。この解答速報は、株式会社アルクが独自に作成したものです。試験主催団体から公表されたものではありませんので、ご注意ください。主催団体からの公式解答は、通常は12月25日(金)の合格発表時に主催団体のホームページに掲載されます。
なお、記述式問題につきましては10月30日(金)正午に公開予定です。