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第2回ザビエル杯日本語スピーチコンテスト

上智大学ソフィア会が主催する第2回ザビエル杯日本語スピーチコンテストが、2020年12月5日(土)に開催されました。今年はコロナ禍の影響でリモートでウェビナーを利用して広く皆さんに視聴していただく形式となりましたが、さまざまな大学から参加した留学生が、熱のこもったスピーチを披露しました。(編集部)

ザビエルと上智大学の関わり

日本にキリスト教を伝えたことで有名なフランシスコ・ザビエルは上智大学と深い縁があります。上智大学の開設は1913年ですが、その源流はイエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルの志に遡ります。上智大学のホームページには以下のような建学の理念が述べられています。

 ザビエルは日本人が理性的で知識欲が旺盛であること、また当時の足利学校や五山における高度な学問・教育の存在を知り、文化・思想の交流拠点として、ヨーロッパと同様の、とりわけパリ大学に代表される教養と学問が組織化された機関としての大学を、日本の首都(ミヤコ)に設立する志を立てた。その後のキリシタン禁制期にこの望みは断たれたかに見えたが、350年余りを経た1906年、ローマ教皇ピウス10世は、前年日本に派遣し、明治天皇に拝謁した親善使節の報告を受けて、イエズス会に対し日本にカトリック大学の設立を要請し、1913年、東京紀尾井の地に上智大学が開学してザビエルの望みは実現した。

上智大学はその後、様々な時代の変遷をぬって成長してきたが、建学理念は一貫して変わらない。それは、「キリスト教ヒューマニズム」の精神を根幹とする大学であり、世界の人々と共に歩む「隣人性」と「国際性」を貫く「大学」であるという理念である。

400年以上前にさまざまな苦難を乗り越えて遠いヨーロッパから来日したザビエルの思いが上智大学設立、更には世界をつなぐ教育振興や文化交流、そして学んだ成果を発表するためのザビエル杯日本語スピーチコンテストへと脈々とつながっています。

ザビエル杯の特色

ザビエル杯は上智大学ソフィア会主催、上智大学後援により行われているスピーチコンテストですが、上智大学以外にも、青山学院大学、東京外国語大学、獨協大学、立教大学、早稲田大学など、さまざまな大学から13人の留学生がコンテストに参加しました。また、コロナ禍の影響もあり、中国や韓国からオンラインでの参加・コメントもありました。

審査委員長は元リトアニア大使の白石和子さん、ゲスト審査員にポーランド大使館一等書記官で同広報文化センター所長のマリア・ジュラフスカさん、元ラグビー日本代表の大野均さんが名前を連ね、合計7人の多彩な審査員によって審査がなされました。他にもインド料理店「タンドール」のオーナーで上智大学の卒業生で同窓会活動の支援者でもあるチャンダー・メヘラさんなど、ノンネイティブの方々が審査員に入っているのは、とても新鮮に思えました。

各スピーチは以下の4点を5段階評価審査しました。

①発表内容:テーマで伝えたい内容が伝わっているか、チャレンジした・発見した内容が明確か
②独創性:発表者自身の着眼点と考えが述べられているか
③プレゼンテーション:声の大きさ、視線、ジェスチャーなどが適切か
④日本語力:よりわかりやすい発音、イントネーション、正確な文法の日本語で発表できているか

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参加者と審査結果

今回の参加者13名のお名前は以下の通りです。

(1)ウ・カリンさん(女性)上智大学経済学部 中国

(2)ショウ・セツエイさん(女性)青山学院大学社会情報学部 中国

(3)ソン・フィチャンさん(男性)早稲田大学文学部交換留学生 韓国

(4)リョウ・ルーイーさん(女性)獨協大学経済学部 中国

(5)オウ・ウトウさん(女性)立教大学文学部 中国

(6)デン・シランさん(女性)東京外国語大学国際日本学部 中国

(7)クー・シケンさん(男性)上智大学国際教養学部 シンガポール

(8)キム・イェウンさん(女性)獨協大学交換留学生 韓国

(9)フ・ブンカさん(女性)早稲田大学大学院日本語教育研究科 中国

(10)リュウ・イオギさん(女性)立教大学異文化コミュニケーション学部 中国

(11)チン・ナイセンさん(女性)獨協大学経済学部 台湾

(12)カク・ジスさん(男性)青山学院大学国際政治経済学部 韓国

(13)ザイラ・エリザベスさん(女性)上智大学理工学部 ドイツ

いずれも大変レベルの高いスピーチでしたが、厳正な審査の結果、(7)クー・シケンさんがザビエル杯第1位、(9)フ・ブンカさんがザビエル杯第2位、(6)デン・シランさんがザビエル杯第3位となりました。他にも大野賞、タンドール賞、アルク賞、特別賞など、さまざまな賞が参加者それぞれに贈られました。

ザビエル杯第1位のクー・シケンさんのスピーチは、1月5日はイチゴの日、5月16日は旅の日などといった記念日の例を挙げながら聴衆の関心を引きつけ、スピーチコンテストが行われた12月5日は実は国際ボランティアデーであると紹介しました。そして、そのような日に行われるザビエル杯スピーチコンテストは、留学生が幅広く交流し、社会貢献していくことにもつながるものだとその意義を強調し、自分も将来は社会開発を意識して実践していける人材になりたいと結びました。日本語が流暢でプレゼンテーションが分かりやすかったことももちろんですが、審査項目にもある発表内容や独創性という点でも大変優れていたと思います。

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また、第2位のフ・ブンカさんは、日本語ボランティア教室で中国人の子供たちに関わる中で、フさんに心を開いた一人の子供との交流と、そこから得たさまざまな気づきをについて語りました。第3位のデン・シランさんは、日本語で話すことに自信がなかった時にコンビニで一人の日本人に助けてもらったことがきっかけで自信を持ち、今度は自分が他の外国人を助けるようになったエピソードを紹介しました。いずれも、さまざまな経験から得たことを前向きにとらえ、努力して成長している留学生の姿がとても頼もしく感じられました。

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最後に、審査委員長の白石和子さんは講評で「来年の第3回ザビエル杯日本語スピーチコンテストは、ぜひ上智大学の四ツ谷キャンパスで開催したい」と述べました。来年の今頃、多くの留学生がキャンパスに集い、スピーチコンテストが行われるようになっていることを心から祈っています。

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