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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

アンケート結果から見えてきた日本語教育能力検定試験のトレンド

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2020年末に結果が発表された令和2年度日本語教育能力検定試験。アルクは例年通り、試験日翌日に編集部が独自に作成した解答を速報しました。その際に集まった受験者アンケ―トから、令和2年度日本語教育能力検定試験のトレンドが見えてきました。(編集部)

アルクが毎年行う検定試験解答速報について

日本語教育能力検定試験は毎年10月下旬に実施され、12月下旬に合格発表と問題正解等が公表されます。この間が2カ月あるわけですが、合格ならば次のステップとして実際に日本語を教える準備に、また残念ながら不合格ならば再受験に向けての受験準備に、できるだけ早く取り掛かりたいところだと思います。

そのような受験者のお役に立つよう、アルクでは毎年、試験日翌日に編集部が独自に作成した解答を速報しています。これは編集部が独自の見解で作成しているものですので、必ずしも12月に発表される「正解」と全てが一致しているとは限りませんが、長年多くの受験者に合否判定の目安として活用されています。

この解答速報を閲覧いただく際に受験者の皆様にはアンケートに答えていただいています。アンケートでお聞きしている内容は、性別、年齢、受験回数、勉強法、試験で難しかったところなどです。本試験受験者のおよそ半数の方がこのアンケートに答えて、令和2年度日本語教育能力検定試験の解答速報をチェックしてくださいました。この度、その結果がまとまりましたので、そこから見えてきた令和2年度日本語教育能力検定試験のトレンドをいくつかご紹介します。

若年層の受験者の増加

年代別の受験者数については主催団体のホームページにも出ているのですが、アルクの受験者アンケートでも同じような傾向が見られました。それは20代の受験者の増加です。

受験者数はほぼ全ての年代において、ここ5年ほどは右肩上がりを続けていました。しかし、令和2年度日本語教育能力検定試験はコロナの影響もあったせいか、その前年の令和元年度の試験に比べて総応募者数が383人減り、ほとんどの年代別でも受験者が減りました。しかし、その中で唯一、受験者を278人増やしたのが20代でした。また10代の受験者は受験者数が54人と変わりませんでした。これにより、令和2年度の受験者全体に占める20代以下の受験者数の割合は、23.3%と全体の4分の1近くを占めるまでになりました(ちなみに令和元年度は19.5%)。また、アルクの解答速報はオンラインで行っていることもあるせいか、この傾向がさらに顕著で、アンケート回答者の中で20代以下が占める割合は27.1%に上りました。全体として、若年層の受験者が増えているトレンドが数字になって現れています。

試験Ⅰの難化をどう捉えるか

アンケートには「今回の試験について難しかった点、やさしかった点など、受験した感想をご自由にお書きください」という項目があります。この中で「やさしかった点」について言及している回答はほとんどなかったのですが、「難しかった点」については、試験Ⅰを挙げている人が圧倒的に多かったです。いくつか代表的な声をご紹介します。

「試験Ⅰが難しかった」「試験Ⅰの難易度が他の試験より高かった」「試験Ⅰが過去問と比べて難しかった」「試験Ⅰが例年以上に難しかった」「試験Ⅰの時間が足りなかった」「試験Ⅰの時間配分」「試験Ⅰの最初の方が難しく感じて、時間がかかった」「試験Ⅰがかなり難しく感じた。例文をいくつも作ってどれが正解か時間内に検証するのが大変だった」「試験Ⅰは時間が足りず、時間配分を間違えました」「問題Ⅰが難しかった。知らない単語が多かった」「試験Ⅰで初見の語が多かった」「試験Ⅰがとくに難しかったです。独学の人は過去問を中心に勉強するしかないですが、その範囲外のことがたくさん出たのでとても苦しかったです」

回答は大きく以下の3つに整理できそうです。

・問題自体が過去の問題より難しかった
・難しいために時間が足りなかった
・知らない単語、勉強していない範囲が出題された

これは、主催団体が発表している「令和2年度 日本語教育能力検定試験 結果の概要http://www.jees.or.jp/jltct/pdf/R2kekkagaiyo.pdf

に出ている平均点等一覧とも関連しています。この資料によれば、試験Ⅰが試験ⅡやⅢ(マークシート)に比べて平均点が低いことが判明しています。しかし、標準偏差(点数の散らばり)で見ると、試験Ⅰより試験Ⅱの標準偏差のほうが逆に高くなっていることが分かります(いずれも配点に対する百分率による比較)。

つまり、試験Ⅰは難しい試験だったので多くの受験者ができなかった→そのため試験Ⅰでは受験者の点数差はあまり付かなかった、と言っていいでしょう。もちろん、試験Ⅰもできるだけたくさん正解できるのに越したことはないのですが、試験の合否という観点で見ると、他にも注目しなければならないところがありそうです。

記述式の新傾向への戸惑い

先のアンケートの回答の「難しかった点」について、試験Ⅰの次に多かったのが、記述式についての言及でした。いくつか代表的なものをご紹介します。

「記述問題」「記述が難しい」「記述の出題形式が例年と違っていた」「記述式のキーワード」「記述の単語選択形式」「記述。キーワードを使うのが大変だった」「キーワードを用いて記述しないといけなかったこと」「記述問題がいつものと違う感じだったので難しく感じました」「記述がまとめづらかったです」「記述が指定されたキーワードを知らないと解答の方向性すら立てられない状態に陥ってしまうので、例年以上に知識によって大きく差が出るものになっていたのではないかと思います」

令和2年度日本語教育能力検定試験の形式で、唯一、令和元年度の試験から変わったのは記述式でした。それまでは問題と字数制限のみ与えられて自由記述をすれば良かったのですが、令和2年度からはキーワードがいくつか与えられ、そのキーワードを一つ以上使って記述するという形式になりました。またそのキーワードの意味も分かるように書かなければならなくなりました。

上記のアンケートの回答を見ても、「難しい」というのと合わせて、「(形式が変わって)戸惑った」という受験者の反応が見て取れます。キーワードの中にどれか一つでも知っているキーワードが入っていれば、受験者はむしろ回答を書きやすいかもしれません。しかし、示されたキーワードが全く知らないものばかりだったら回答を作成するのに苦労すると思います。記述式についてはこれまで以上に出題者の出題意図を酌んで、与えられたキーワードを使って的確に答えることが必要になります。

基本に忠実に、記述式対策は万全に

日本語教育能力検定試験は非常に幅広い範囲に渡って出題されます。そのため、毎年必ずと言っていいほど、過去に出題されたことがない、初めて見るような用語がいくつかは出てきます。しかし、たとえそのような用語を使った問題が何問か出題されたとしても、あまり気にする必要はありません。そういう問題は「自分が解けなくても他の受験者も同じように解けない」からです。そういう時に絶対に避けなければならないのは、焦ってしまうことです。特に試験Ⅰは午前中に行われる最初の試験ですので、ここで精神的にショックを受けてしまうと、午後の試験ⅡやⅢにも響いてしまいます。

一方、記述式については新形式は恐らく令和3年度以降も続く可能性が高いでしょうから、その対策をしっかりとしておくことが必要です。アルクが自信を持ってお勧めする「日本語教育能力検定試験 合格パック2021」では、基本事項をしっかりと網羅しながら、記述式問題についても万全の対策を取っています。

 

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