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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

日本語教師のための 今さら聞けない流行語2022 -バブみとオッパみ-

日本語教師にわからない日本語なんて……ある!この記事では、NJ編集者(妙齢)が「よく見るけど実はよくわかっていない」「今さら誰かに聞けない」流行語にあらためて向かい合ってみたいと思います。流行語=言葉の乱れ……などと思わず、日本語の奥深さや面白さを見つめるきっかけにしてください。

♯2 バブみとオッパみ

今回のテーマは、近年よく使われている接尾辞「~み」(み名詞)についてです。

 

★「み名詞」の大活躍

「~み」は形容詞を名詞化する接尾辞で、「面白み」「深み」のように使います。同じく形容詞を名詞化する接尾辞に「~さ」があり、本来は程度やレベルを表すときは「~さ」を使い、概念、感覚を表すのに「~み」を使います。しかし、ここ数年ネットなどを中心に「~み」が大活躍しています。

 

例1:ランチの後の会議は眠みマックスだよね。

例2:まだ6月なのにこの暑さ、やばみを感じる。

例3:A「BTSの新曲、よさみが深い……。」

   B「わかりみしかない……。」

 

1と2は、従来であれば「~さ」(眠さ、やばさ)が使われていたような言葉に「~み」がついた例で、3の「わかりみ」は「わかる」という動詞に「~み」が付いた形です。

また、「よさみ」は“よい”+接尾辞“~さ”=「よさ」にさらに「~み」が加わった形になっています。今や「~み」は形容詞以外の品詞ともくっついて、新しい「み名詞」を作りだしています。

 

★なんでも「み名詞」

私がこの新しい「み名詞」で面白いと思ったのが、「オッパみ」と「バブみ」という言葉です。一体どんな意味なのでしょうか。

 

例4:「ねえねえ、あの店員さん、オッパみあるよねー!」

例5:「初めてこのゲームをするということで、プレイにバブみがありますが……。」

 

例4はコントのセリフ、例5は動画で見つけた実例です。

「オッパ」とは韓国語で、女性が兄、先輩、彼氏など親しい年上の男性を呼ぶ「お兄さん」のこと。「オッパみ」は、店員さんにお兄さん感・彼氏感がある(多分イケメンでもある)ということを一言で表しています。「バブ」は赤ちゃん語の「バブバブ」から来ていて、「バブみ」は初心者でつたない、幼いという感じでしょうか。

 

★使い方の注意

このような新しい「み名詞」を学習者が作りだしたり使いこなしたりしていたら、教師は褒めるべきなのかもしれません。しかし、もし学習者に「先生はとても若いですね。」という意味で「先生はバブみマシマシですね。」と言われたらうれしくはないでしょう。親しい日本人とのカジュアルな会話でしか使わないこと、本来の使い方と混同しないことなどに注意するべきでしょう。

なぜ名詞化するのか、なぜ「~み」を使うのかなどの疑問について、国研の『ことば研究館』にとてもわかりやすい記事がありました。他にも接尾辞「~み」の新しい使い方については様々な研究や考察がありますので、興味が湧いた方は調べてみてください。

日本語って本当によさみが深いですね!

 

★国立国語研究所 ことばの研究館

「若者ことばの「やばみ」や「うれしみ」の「み」はどこから来ているものですか」

https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-34/

 

次回→日本語教師のための 今さら聞けない流行語2022ー略語(とりま、ノンデリ)ー

https://nj.alc-nihongo.jp/entry/20220826-imasarakikenai