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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

日本語教師のための 今さら聞けない流行語2022ー略語(とりま、ノンデリ)ー

日本語教師にわからない日本語なんて……ある! この記事では、NJ編集者(妙齢)が「よく見るけど実はよくわかっていない」「今さら誰かに聞けない」流行語にあらためて向かい合ってみたいと思います。流行語=言葉の乱れ……などと思わず、日本語の奥深さや面白さを見つめるきっかけにしてください。

♯3 便利な略語の世界

今回のテーマは、略語です。略語とは既存の語を縮約・省略したもので、造語の一つです。略語は長い語を短くする、隠語として使うなどの目的で作られます。

★日本語に定着している略語

略語は日本語にはなくてはならない存在です。「コンビニ(コンビニエンスストア)」や「パソコン(パーソナルコンピューター)」などは普段当たり前に使っていますし、「テレビ(テレビジョン)」や「農協(農業協同組合)」などはそもそも略語と意識して使っている人のほうが少ないのではないでしょうか。

略語は「短縮しても元の意味は維持する」「2拍~5拍以内、特に4拍が多い」などの特徴があり、簡潔に相手に意味を伝えられるメリットがあります。特に外来語由来の略語が多く、「セクハラ(セクシャルハラスメント)」などはその概念と一緒に定着した例だと思います。

★流行語としての略語

次に、最近の流行語としての略語を見てみましょう。

 

例1:A「とりま、山田さん誘ってみる?」

   B「ワンチャンあり。」

例2:A「部長、ノンデリすぎる。」

   B「キモい。」

 

1の「とりま」は「とりあえず、まぁ」の略語で、「とりあえず」よりも軽い感覚で使われているようです。「ワンチャン」はone chanceから来ており、元は「まだ勝つチャンスはある」「逆転できる」という意味で使われたようですが、1のように「可能性がある」「多分」という意味でも使われるようになりました。2の「ノンデリ」は「ノンデリカシー」、つまりデリカシーがない、という意味です。「キモい」も「気持ち悪い」の略語になります。

 

例3:A「明日、10時に駅集合で。」

   B「り。」

例4:A「EXITのりんたろー。が結婚って、マ?」

   B「マ。」

 

3の「り」は「了解」の略語です。「了解」という言葉が長いという感覚はおばさんにはないのですが、了解 → りょ→ り とどんどん短くなっており、これも文字を打つチャット文化の影響と思われます。

4の「マ?」は「マジ?」の略語で、これもおばさんからすると「2字しかないんだから略さなくていいだろ!」とツッコミたくなりますが、1字にすることによって、驚きを強調する効果があるようです。

★使い方の注意

このように、略語にもすでに日本語として定着しているものと流行語として使われているものがあり、前者は誰に使っても問題ありませんが、流行語は使う相手によって注意が必要です。しかし日本語の略語はとても多く、学習者には区別が難しいので、皆で知っている略語を出しあって意味を答えるクイズをするなど、教室活動の一部として取り入れると楽しく学べそうですね。

流行語として生まれて日本語に定着する略語は一握りです。紹介した略語のなかで数年後にはいくつ残っているか、とりま、ワンチャン見届けたいと思います。