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日本語教育能力検定試験の“新”出題範囲対策5~言語

令和4年度日本語教育能力検定試験は2022年10月23日(日)に行われます。試験本番まで残すところ約1カ月となりました。受験される皆さんは、準備は順調に進んでいますか? ここでは令和4年度の日本語教育能力検定試験の出題範囲に新しく追加された項目を中心に解説していきます。

令和4年度の試験から何がどう変わるのか

令和4年度日本語教育能力検定試験から、「必須の教育内容」(文化庁)に基づいて出題されるようになります。

令和4年度日本語教育能力検定試験 出題範囲

http://www.jees.or.jp/jltct/range.htm

令和4年度の出題範囲にあるもので、令和3年度までの出題範囲の「主要項目」にはなかったものがいくつかあります。その中で、出題範囲の5区分の中の「言語」は、以下のようになっています。

日本語の構造

日本語教育のための日本語分析

日本語教育のための音韻・音声体系

日本語教育のための文字と表記

日本語教育のための形態・語彙体系

日本語教育のための文法体系

日本語教育のための意味体系

日本語教育のための語用論的規範

令和3年度までの項目の頭に、「日本語教育のための」という言葉が付いています。今回はこの「日本語教育のための」に関連して、日本語教育能力検定試験で過去に出題されたところを見てみましょう。

日本語教育文法と学校文法

「日本語教育のための」という観点で言えば、日本語教育における文法(日本語文法)の比較対象となるものに学校文法があります。

学校文法:既に日本語が使える母語話者が対象

日本語文法:日本語が分からない日本語学習者が対象

という大きな違いがあり、日本語文法は日本語学習者が日本語を運用できるようになることを第一に考えたルールになります。そのため、同じ日本語を扱っていても、学校文法と日本語文法では考え方や名称などに異なるものがあります。例えば、以下のようなものです。

学校文法/日本語文法

形容詞/イ形容詞

形容動詞/ナ形容詞

五段活用動詞/1グループ動詞

上一段活用・下一段活用動詞/2グループ動詞

カ行変格活用・サ行変格活用動詞/3グループ動詞

また、日本語教育では動詞の活用形も機能によって細かく分かれ、名称も変わります。例えば「食べる」という動詞の「未然形」と言った場合は「食べ」までを指し、「ナイ形」と言った場合は「食べない」までを含みます。

学校文法/日本語文法

未然形/ナイ形、意向形など

連用形/マス形、テ形、タ形など

終止形/辞書形

連体形/辞書形

仮定形/バ形

命令形/命令形

学校文法と日本語文法の違いは令和2年度の日本語教育能力検定試験でも出題されていますので、確認しておきましょう。

語彙習得と語彙学習

子どもの頃からさまざまな日本語を見聞きして自然に語彙を増やしていく母語話者に比べ、日本語学習者は意識的に語彙を学習して増やしていきます。

語彙学習においては、見て・聞いて意味が分かればいい語彙(理解語彙)と、使えなければならない語彙(使用語彙)は分けて考える必要があります。また、初級段階では、日常生活での使用頻度の高い語彙(基礎語彙)を学び、中級、上級とレベルが上がるにつれて学習者が各々の個別領域・専門領域で必要となる語彙(基本語彙)を学んでいくようにします。

令和2年度や令和元年度、平成30年度などの日本語教育能力検定試験で、語彙・意味と関連させて、対義語、多義語、上位語と下位語(階層関係)、比喩、ダイクシス(直示表現)などさまざまな項目が問われていますので、注意しましょう。

言内の意味と言外の意味~語用論的規範

語用論では、言葉そのものの辞書に記載されているような意味のことではなく、特定の文脈の下で相手に伝えようとしている発話意図について扱います。高コンテキスト文化の日本社会では状況を読み取った上でのコミュニケーションが必要とされ、「正確な日本語」を使うだけではコミュニケーションがスムーズに行かないこともあります。

日本語教育能力検定試験では、オースティンの発話行為理論がよく出題されます。

発話行為の例:(窓が開いていて)「ちょっと、寒いね」と言う。

発話内行為の例:「ちょっと、寒いね」と言うことで、相手に「窓を閉めてほしい」という発話意図を伝えること(相手に発話意図が伝わることをサールは間接発話行為と呼んだ)。

発話媒介行為の例:相手が窓を閉めること。

また、会話の公理で有名なグライスは、このような言外の意味のことを含意と呼びました。会話の公理は以下の4つに分けられます。

量の公理:言うことが少なすぎず多すぎない。

質の公理:言うことが間違っていない。

関係の公理:無関係なことを言わない。

様式の公理:曖昧なことを言わない。

日本語教育能力検定試験では、前回の令和3年度に発話内行為、令和元年度に間接発話行為、関係の公理について出題されています。

令和4年度受験予定の方は受験票のチェックを

令和4年度の日本語教育能力検定試験を受験される予定の方のところには、もうすぐ受験票が届きます。皆さんのお手元に受験票が届いたら、まず試験会場を確認しましょう。また、名前など受験票の記載内容が願書の記入内容と異なっていないか、必ず確認するようにしましょう。もし何か間違いがあった場合は、受験表のコピーを赤字で訂正し、2022年10月31日(月)(必着)までに主催団体である公益財団法人日本国際教育支援協会に送付してください。訂正は合否結果通知書、合格証書作成に反映されます。但し、連絡先(住所)の変更はできませんので、転居した場合は、必ず郵便局に転居届を提出してください。

皆さんのご健闘をお祈りします。

日本国際教育協会(JEES)日本語教育能力検定試験

http://www.jees.or.jp/jltct/index.htm

執筆:新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の良さを世界に伝えたいと思っている。