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日本語教育能力検定試験に合格するための勉強法

日本語教育能力検定試験は、日本語教師を目指す人にとって必須の試験です。採用に当たっては、日本語教育能力検定試験に合格していることを条件の一つにしている日本語学校も少なくありません。ここでは、日本語教育能力検定試験の受験を考えていらっしゃる方向けに、合格するための勉強法をご案内します。

キーワードの暗記では不十分

日本語教育能力検定試験の特徴の一つは非常に試験範囲が広いことです。

試験では「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語」の5区分から、50の主要項目を中心に出題されます。全部で200問の問題にまる1日かけて取り組み、一定以上の点数を取らなければ合格できません。勉強しなければならない内容は極めて多く、また多岐に渡っています。試験範囲の広さは、日本語教師に求められる幅広い資質・能力を象徴しているとも言えます。

これから日本語教育能力検定試験の勉強を始めようとする方の中には、膨大な範囲のどこから手を付けたらいいか戸惑われる方も少なくないと思います。中には、いきなり用語集やキーワード集などの暗記から始める方もいます。もちろん全く知らない用語であれば、それを覚えることは必要ですが、それだけでは試験に合格できる力は付きません。大切なのは、その用語についての一定の理解です。

試験で「キーワードそのもの」を答えさせるような問題は、あまりありません。問題の多くは、さまざまなキーワードが入った文章を読み、その中でキーワードに下線が引いてあり、「この〇〇に関連する内容で正しいもの(または誤っているもの)を選べ」といった形式で出題されます。つまり、内容を聞いてキーワードを答えるのではなく、キーワードを聞いて関連した内容の正誤を判断できる、関連した内容を自分の言葉で説明できるようにしておくことが大切です。

一例を示すと、以下ののような形では出題されません。試験対策としては〇のように自分の言葉で説明できるようにしておくことが必要です。

「うれしい」「悲しい」などの感情を表す形容詞を何と言う?→感情形容詞

〇感情形容詞とは?→「うれしい」「悲しい」などの感情を表す形容詞。感情なので主語は一人称になる。二人称や三人称で使う場合は「~がる」を付けて、「うれしがる」「悲しがる」のようになる。

基本だけでなく例外まで押さえよう

日本語教育能力検定試験に合格するには文法の知識は必須です。ただし、日本語に限りませんが、文法が言葉の前にあったわけではなく、さまざまな言葉が先にあって、その言葉に合理的な説明を付けるために文法は整理されています。ですので、全ての言葉が文法規則にきれいに当てはまるわけではありません。

もちろん、まずは土台となる基本的な文法ルールを押さえることは大切です(基本がなければ例外もありませんので)。ただし、それだけで十分と思ってしまうのはやや危険です。なぜなら、基本的なところは多くの受験者が既に押さえていて正解できてしまうからです。

日本語教育能力検定試験の試験ごとの平均点は毎年変動しますが、合格率は年々微増し、前回行われた令和4年度の日本語教育能力検定試験では、合格率がとうとう3割を超えました(と言っても、7割の人が不合格になる大変狭き門であることは変わりません)。合格率が上がったのは、試験がやさしくなったということではなく、受験者のレベルが年々上がっているためと思われます。そのため、恐らく合格ラインの前後には多くの受験者がひしめき合っており、1点の違いで合否が分かれてしまうケースも少なくないと思われます。

基本的な問題だけではみんな正解してしまうので、試験問題は例外的なところから出題されることが多いことも事実です。ライバルに差を付けるためにも、試験勉強では基本を押さえるだけではなく、以下のように例外的なところまで押さえておくことをお勧めします。

〇感情形容詞とは?→「うれしい」「悲しい」などの感情を表す形容詞。感情なので主語は一人称になる。二人称や三人称で使う場合は「~がる」を付けて、「うれしがる」「悲しがる」のようになる。ただし、「好きだ」「嫌いだ」などは例外的に三人称でも使える。

まずは漏れなく、ムラなく準備を進めよう

繰り返しになりますが、日本語教育能力検定試験の出題範囲は非常に広範囲にわたっています。受験される方の中には、「教育分野は好きだが文法は苦手」「心理分野は面白いが時事問題はよく分からない」など、好き嫌いや得意不得意がある方も少なくないと思います。むしろ、「全ての分野が好き」という方は珍しいかもしれません。

試験では、出題比重が大きい分野と出題比重が比較的小さい分野があるのは事実です。しかしながら、試験準備を始めるに当たっては、まずは全範囲に渡って一通りの勉強をすることをお勧めします。

各分野の内容はそれぞれ関連しており、同じ内容でも分野によって別角度から捉えているようなこともたくさんあります。そのため、全分野を一通り勉強すれば、内容についての関連が見えてきて、理解がより深まります。最初はあまり一つ一つの項目について完璧に理解することを目指さず、広く浅く日本語(教育)の全体像を捉えるようにすることをお勧めします。

苦手な分野というのはどうしても後回しにしてしまいがちですが、例えば、好きな分野を勉強したら同じ時間かけて苦手な分野も勉強する、平日は好きな分野中心に週末は苦手分野を中心に勉強するなど、自分なりのルールを決めて準備を進めるのがいいのではないかと思います。

まだ試験までは時間がありますので、興味がある分野については関連する本を読んだり、WEBを検索したりして、さらに理解を深めるのもいいと思います。そうした中で、より日本語教育への関心も高まり、試験までのモチベーションも維持できると思います。

執筆:新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の良さを世界に伝えたいと思っている。