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私のJLPT対策法~韓国人学生キムヒョンミンさんの場合

日本語学習者の日本語力を測るテストの一つが国際交流基金と日本国際教育支援協会が主催する日本語能力試験(以下JLPT)です。日立さくら日本語学校の学生、キムヒョンミンさんは、来日後4か月でJLPTのN3に満点で合格、さらにその5か月後の2022年12月にはJLPTのN2にまたも満点合格したそうです。キムさんがどんな勉強方法を取っていたのか、日本語学習者や日本語教師の皆さんの参考になればとお話を伺いました。インタビューには同校校長の松浦みゆき先生も同席されました。

まず自分の弱点を知り、1冊の問題集を使って

――キムさんが日本に来たのはいつでしょうか。

キム:えーと去年(2022年)の3月の終わりです。

――日本に来るまで、日本語の勉強はしていましたか。

キム:はい、会話だけですけど。

――え、会話だけですか。

キム:実は彼女が日本人で、それで追っかけて日本に来たって感じなんですけど。だから学院(韓国の日本語学校)とかで机の上で勉強したことはありませんでした。

――日立市を選んだのは、どうしてでしょうか。

キム:東京より生活費も安いし、彼女のところにも近かったので。

――学校での勉強とは別に、JLPT合格のためにどんな勉強をしましたか。

キム:韓国で有名なJLPT対策本があるんです。友達もみんなそれを使っているので、それを買ってやりました。その本は日本では売っていないみたいです。1冊をちゃんとやれば合格できますよという本なのでテストの前に1か月やりました。

――日本で売っているJLPTの対策本との違いはありますか。

キム:自分のウィークポイントは文法だと思っていて、この本は韓国語で説明が書いてあるのが分かりやすかったです。それに、文法は文法だけ、読解は読解だけとか別々になっている本がありますが、経済的な余裕もないし、1冊で勉強できるのはいいなと思いました。まず模擬試験をやって、間違っていたところを選んで、その本で勉強しました。先生に勧めてもらった問題集もあったんですが、それはちょっと自分には合わないなと思って、途中でやめました。問題が紛らわしいし、説明もなかったので。

――他に何か、最近ではよく使われている試験対策のアプリやインターネットの問題なども利用しましたか?

キム:いいえ、全く利用しませんでした。

聴解はアルバイト、漢字はLINEのやり取りで

――他に何か試験のために役に立ったということはありますか。

キム:居酒屋でアルバイトしているので、それは聴解に役に立ったんじゃないかと思います。お店の人やお客さんとの話とか。同じことを2回聞くのは時間の無駄じゃないかと思っているので、分からないことは分からないって言うんです。叱られたくないし。それで徐々に分かるようになりました。

――漢字はどうですか。韓国の学生は、漢字を苦手にしている人も多いと思うんですけど。

キム:はい、僕もです。でも彼女とは日本語で毎日LINEしているので、それで自然に慣れていっというか。勉強っていう感覚じゃなくて。漢字って規則的なので、そこがなんとなく分かってきて、たとえばこれがついていれば意味は違うけど読み方は同じとか。

――確かに。つくりが同じだと音読みは同じですもんね。そこに自分で気づいたんですね。

キム:LINEで漢字の候補が出てきて、正しいのを選ぶのもテストみたいでしたし、間違ったとき彼女が直してくれることもありました。

――文法がウィークポイントだと言いましたが、そこは?

キム:ずっと会話中心で日本語を覚えていったので、試験には全然使ったこともない表現や文法があって、そういうのは本で勉強しました。

――読解についてはどうですか。N2ともなると長くて抽象的な文章も出されると思うんですが。

キム:どの試験でもそうだと思うんですが、いきなり全部読まないっていうか。まず問題文を読んでから、本文を読みます。それは韓国にいた時から、国語の試験でやっていました。

試験の前日は勉強しないでリフレッシュ!

――実際に試験を受ける時はどうでしたか。試験の前日は何をしましたか。

キム:これは僕のこだわりなんですけど、試験の前日は勉強しないんです。ちょっと中二病みたいですけど、今までの自分を信じて、リフレッシュします。以前は試験の前1週間だけ勉強するとかしていたんですけど、それで後悔したことが何度かあって、それから後悔しないように計画的にやるようになりました。

何の試験を受ける時も、受けるって決めたら、まずGoogleで試験の内容とか勉強法などを調べます。ただ勉強し始めても、それが間違った方法だったら遠回りになるから。調べるだけで1週間ぐらいかかることもあります。そうしてどうやるか全部決めてから勉強を始めるんです。JLPTでも、まず試験問題を見て、ああ、こういう試験でこういう特徴があるということを先に理解しました。ただの暗記だけだと間違えるなと思って。

――なるほど。それでも2回続けて満点というのは、なかなかできないと思うんですが。何かコツでもあるんでしょうか。

キム:いえ、正直、運だと思います(笑い)。実際に試験を受けて「合格したかな」ぐらいの感触はあったんですが、5問ぐらいはあやふやな感じがあって、満点だとは思いませんでした。読解は早く終わったんですが、結構何回も解答を見直しました。それで2こぐらい、やっぱり違うなと思って、答えを変えたものもありました。

――そうですか。見直すことってやっぱり大切ですね。ケアレスミスも防げますしね。

JLPTに合格するためではなく、日本で生活するために日本語を勉強する

――JLPTの勉強以外に自分なりの勉強方法ってありますか。

キム:さっきも言いましたけど、居酒屋のアルバイトがかなり勉強になっています。日本語を勉強し始めた頃はドラマも見ていました。アニメがいいよとも言われましたが、アニメだと悪い言葉も出てくるので。初めて会った人に「てめぇ」とか言えないですから。今はドラマじゃなくて、日本語吹き替えの映画をよく見ています。分からない時は彼女に聞いたりしますね。漫画を読むのも読解が早くなるのでいいんじゃないでしょうか。最近はLINE NEWSも読んでいます。全部、勉強って感覚じゃなくてやっています。JLPTに合格するために勉強するって考えたら、そこまでになってしまうので、日本で生活するために日本語を勉強している。そう考えてやればJLPTの結果もついてくると思っています。将来はIT系の仕事をしたいと思っているので、今、その資格の勉強も同時進行でやっています。

――2023年はN1を受験するんですよね。頑張ってください。今日はありがとうございました。

(松浦先生のお話)

語彙の授業で、学生が自分で言葉を調べて、それをクラスメイトに説明するという活動があったのですが、キムさんが選んだ語彙は「こいぬ」でした。簡単すぎて、ずるいという声もあったようですが、キムさんの説明は「こどもの犬がこいぬだ」という説明にとどまらず「『こいぬ』の反対の言葉は何だと思いますか」とか、「同じ『こいぬ』でも『子犬』と『小犬』があって紛らわしいから、『小犬』の方は『小型犬』という言葉もあり、その反対語は『大型犬』になるよ」というものでした。一つの言葉をとりあげる時、そこまで広げて勉強する視点があるのだと感心させられました。本校は小さな学校なのでキムさんのレベルにぴったりなクラスも作れないのですが、それでも自分なりの勉強方法を見つけて学んでいる姿は、こちらも学ぶことが多いです。

取材を終えて

キムヒョンミンさんの勉強方法は、私が以前読んだ試験対策法について書かれた本の内容そのものでした。つまり自分なりに学習ストラテジーを確立しているということなのです。これは日本語学習者だけでなく、例えばこれから日本語教育能力検定試験を受ける人にも大変参考になるのではないかと思いました。また勉強と思わずに、学習するというのもいいですね。

取材・執筆:仲山淳子

流通業界で働いた後、日本語教師となって約30年。5年前よりフリーランス教師として活動。

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