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留学生40万人の時代へ ー2024年末の在留外国人数が過去最高を更新

2024年末時点の在留外国人数が出入国在留管理庁から発表されました。在留外国人数は毎年1割程度ずつ増えていますが、今回は特に在留資格別で「留学」の伸びが目立ちました。一方、日本の総人口は毎年減少し続けており、日本人の人口減少を外国人の入国増加によって補っている状況が続いています。

2024年末時点の在留外国人数は376万人

総務省の発表によれば、2024年10月現在の日本の総人口は前年比約55万人減の約1億2380万人でした。

この内訳を見ると、日本人が約90万人減少している一方、外国人が約35万人増加しており、差し引き約55万人が減少していることがわかります。

また、出入国在留管理庁の発表によれば、2025年末時点の在留外国人数は、前年同月比+35万人(10.5%)の376万8977人でした。この、在留外国人数の内訳を見てみましょう。

アジア各国からの増加が顕著

国籍別の上位5カ国は、以下の通りです。

1位:中国87万人(前年同月比+5.1万人)

2位:ベトナム63万人(同+6.9万人)

3位:韓国41万人(同-0.1万人)

4位:フィリピン34万人(同+1.9万人)

5位:ネパール23万人(同+5.6万人)

6位以下で増加が目立つのは、7位インドネシア(前年同月比+5.1万人)、8位ミャンマー(同+4.8万人)でした。

在留資格別の上位5在留資格は、以下の通りです。

1位:永住者92万人(前年同月比+2.7万人)

2位:技能実習46万人(同+5.2万人)

3位:技術・人文知識・国際業務42万人(同+5.6万人)

4位:留学40万人(同+6.1万人)

5位:家族滞在31万人(同+4.0万人)

永住者は数年後に100万人の大台に乗りそうな勢いですが、今回、特に増加が目立ったのは「留学」で、その数はとうとう40万人を超えました。

留学生40万人計画を前倒しで達成

日本の留学生の受け入れについては、1983年の「留学生受入れ10万人計画」、2008年の「留学生30万人計画」の達成を踏まえて、政府は「留学生40万人計画」を掲げていました。

この40万人という数値が発表されたのは、今からわずか2年前の2023年であり、広島で開催されたG7サミットに先立ち、2033年までに留学生を40万人受け入れることを当時の岸田首相が表明しました。今回の出入国在留管理庁の発表は、実際は政府の予測をはるかに上回るスピードで留学生が増えていることを裏付けています。

これまで留学生数は2019年にピークがありましたが、2020年のコロナ禍の入国制限により一時的に大きく減少しました。しかし、その後はコロナ禍以前の数値を回復し、さらに大きく留学生数を伸ばしています。

出入国在留管理庁の統計からは、留学生の国籍別や教育段階別の内訳はわかりませんが、毎年5月下旬には日本学生支援機構(JASSO)が前年度の外国人留学生在留実績調査を発表しており、そこで国籍別や教育段階別の留学生の内訳などがわかると思います。

前々年度は、国籍別では中国やネパールなどからの増加、教育段階別では日本語教育機関での増加が顕著でした。この傾向が続いているのか、国籍別で大きく増加している国があるのかなどは、気になるところです。

留学生受入れは認定日本語教育機関で

現在、留学生を受け入れている日本語教育機関は、認定日本語教育機関(日本語教育機関認定法に基づき文部科学大臣の認定を受けた教育機関)として申請あるいは申請を検討しているものと思われます。

2025年3月には、認定日本語教育機関の令和6年度2回目の認定結果が出ました。それによれば、新たに認定された日本語教育機関は19機関で、そのうち留学分野が17機関、その中で法務省告示機関(経過措置により2028年度末までは告示校のままでも留学生を受け入れることのできる日本語学校のこと。令和5年2月現在833校)は5機関でした。1回目の認定結果と合わせると、留学分野は39機関、その中で法務省告示機関は12機関となっています。

現在の法務省告示機関総数から見れば認定された機関はまだ少なく、今後、大きく増加していくものと思われます。また、2回目の認定結果では、初めて就労分野での認定が出たことも注目されました。

足下では留学生数の急増が数値に現れており、その状況に対応できるだけの認定日本語教育機関と、そこで教えることができる登録日本語教員の需要は、ますます高まっていくものと思われます。日本留学を希望する多くの留学生をしっかり受け入れられるだけの環境整備が急務になっています。

執筆:新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の魅力を世界に伝えたいと思っている。

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