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日本語ジャーナル:日本語を「知る」「教える」

誰でも受講可能!「登録日本語教員の経過措置に係る経験者講習」はお勧め

経過措置により登録日本語教員を目指している方にはおなじみですが、「登録日本語教員の経過措置に係る経験者講習(以下、経験者講習)」というものがあります。オンラインで受講できる講習ですが、各分野の第一人者の講師による非常に充実した講義内容です。経過措置の対象者はもちろんですが、実はこれから日本語教師を目指す方のような、経過措置の対象ではない方にもお勧めしたい講習です。

経験者講習とは何か

登録日本語教員になるためには、原則、日本語教員試験(基礎試験と応用試験)に合格し、登録実践研修機関が実施する実践研修に修了する必要があります。

しかし、現職の日本語教師を対象に、新しくできた登録日本語教員制度への円滑な移行と負担の軽減などの観点から、一定の要件を満たす場合には、日本語教員試験や実践研修を免除する経過措置が令和11年3月まで設けられています。この経過措置の条件となるのが、経験者講習の修了です。

経験者講習は講習Ⅰと講習Ⅱがあります。

講習Ⅰ:90分×5コマの動画、確認試験および講習修了認定試験

講習Ⅱ:90分×10コマの動画、確認試験および講習修了認定試験

移行措置のD-2およびE-1ルートの方は講習Ⅰと講習Ⅱの両方を、D-1およびE-2ルートの方は講習Ⅱを、それぞれ修了する必要があります。受講料は講習Ⅰ+講習Ⅱが26,400円(税込)、講習Ⅱのみが17,600円(税込)です。

以前に養成講座を修了した学士以上の人は、修了時期によりD-1またはD-2ルートになります。また、以前に日本語教育能力検定試験に合格した人は合格時期によりE-1またはE-2ルートになります。

経過措置で令和7年度受験予定の方は要注意

令和7年11月実施の「日本語教員試験」において、経過措置(D-1・D-2・E-1・E-2)ルートで出願される方は、出願の時点で経験者講習をあらかじめ修了し、他の出願書類とともに修了証を提出する必要がありますので、注意が必要です。

日本語教員試験の出願期間は、令和7年7月14日(月)~8月22日(金)ですが、令和7年度日本語教員試験の出願を希望される方は、令和7年7月20日までに経験者講習の受講を修了し、8月10日までに修了証を受領していることが望ましいとされています。

経験者講習は前述のように、講習Ⅰと講習Ⅱを両方受講される場合は、90分×15コマ=22.5時間+確認試験および講習修了認定試験になりますので、少なくとも1カ月ぐらいは受講期間を見ておいたほうがいいと思います。

経過措置で令和7年度の日本語教員試験を受験する方は、経験者講習の修了が必須ですが、早めに受講を始めることをお勧めします。

令和8年度以降に受験予定の方にもお勧め

現職の日本語教師で登録日本語教員を目指している方の中には、さまざまな理由で令和8年度以降に日本語教員試験を受験する予定の方もいらっしゃると思います。そういった方にも、経験者講習は早めに受講を始められることをお勧めします。

経験者講習は、いつから始めても、令和11年3月31日まで受講が可能です。受講を始めてさえおけば、いつかは受講しなければならない経験者講習を、時間が空いたときや思い立ったときに、いつでも受講することができます。動画は小まめに見ることができますし、繰り返し見たり、一度見た後はスピードを変えて見たりすることもできます。

受講終了期限は一律ですので、早めに始めることはメリットしかありません。

実は経験者講習が不要な方にもお勧め

養成講座修了や日本語教育能力検定試験合格の経験がなく経過措置を受ける現職者の方や、これから日本語教師を目指し養成機関ルートや試験ルートで受験される方は経験者講習の修了は不要ですが、実はこういった方々にも経験者講習の受講はお勧めです。

その理由は、経験者講習で扱われている内容が、日本語教育の置かれている社会的状況の変化などにより、日本語教員養成課程に新しく取り込まれたものが多く含まれているからです。各分野の最新の研究動向なども知ることができます。もちろん、それは日本語教員試験の効果的な対策にもなります。

経過措置の対象者以外の方の中には、経験者講習が受講できないのではないかと思っている方が時々いらっしゃいますが、そのようなことはありません。「講習概要」にも、「それ(「D-1、D-2、E-1、E-2)以外の方は、本講習を受講する必要はありませんが、講習の受講を妨げるものではありません」と明記されています。

登録日本語教員の経過措置に係る経験者講習

https://www.mext.go.jp/a_menu/nihongo_kyoiku/mext_02845.html

執筆:新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の魅力を世界に伝えたいと思っている。