2024年に日本語教育機関認定法が施行されて以来、認定日本語教育機関、登録日本語教員養成機関や登録実践研修機関の認定、そして日本語教員試験と、さまざまな整備がなされてきています。日本語教育機関認定法をめぐる直近の動きを確認します。
認定日本語教育機関
日本語教育機関の認定については、これまで2回認定結果が発表されました。
令和6年度1回目:
申請機関総数 72機関
認定とした日本語教育機関 22機関
【課程分野内訳】留学:22機関、就労:0機関、生活:0機関
【機関種別内訳】法務省告示機関:7機関、大学別科等:0機関、その他:15機関
令和6年度2回目:
申請機関総数 48機関
認定とした日本語教育機関 19機関
【課程分野内訳】留学:17機関、就労:2機関、生活:0機関
【機関種別内訳】法務省告示機関:5機関、大学別科等:0機関、その他:14機関
この結果、認定とした日本語教育機関は合計41機関となりました。内訳は、留学39機関、就労2機関です。就労の2機関は、公益社団法人国際日本語普及協会(AJALT)とJICE 日本語教育・就労支援センターです。
申請期間件数が少なく、結果認定された機関数も少ないのですが、とりわけ留学以外の分野の認定機関の少なさが気になります。特に、生活分野はまだ0機関です。今後、令和9年度までに技能実習制度に代わり育成就労制度が始まることが決まっていること、育成就労制度においては日本語能力の要件があることなどを考えると、今後、この分野のニーズは大きいのではないかと思われます。なお、令和7年度1回目の認定は令和7年秋頃に認定結果が出る予定です。
登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関
登録実践研修機関と登録日本語教員養成機関の認定も、これまで2回認定結果が発表されました。
令和6年度1回目:
1.実践研修機関の登録結果
・申請機関総数 38件
・登録した実践研修機関 34件
2.日本語教員養成機関の登録結果
・申請機関総数 47件
・登録した日本語教員養成機関 40件
令和6年度2回目:
1.実践研修機関の登録結果
・申請機関総数 27件
・登録した実践研修機関 21件
2.日本語教員養成機関の登録結果
・申請機関総数 32件
・登録した日本語教員養成機関 26件
この結果、認定された登録実践研修機関は合計55件、登録日本語教員養成機関は66件となりました。こちらは、認定日本語教育機関と比べると、順調に数は増えているように見えます。
日本語教育機関認定法ポータル
これらの、認定日本語教育機関や登録実践研修機関、登録日本語教員養成機関の情報を一覧できるのが、日本語教育機関認定法ポータルです。
このサイトは言語切り替えによって、英語、中国語簡体字・繁体字、韓国語、ベトナム語などでも見ることができ、認定日本語教育機関を探す外国人が使いやすい作りになっています。各学校のホームページへのリンクもあり、興味を持った場合はより詳しく確認することもできます。登録日本語教員を目指すノンネイティブ日本語教師志望者にとっても便利です。
サイトは四つのカテゴリーに分かれています。
1.と2.では、都道府県などによって各機関の検索・絞り込みが可能で、日本のどこに、どんな認定日本語教育機関があるのか、あるいは自分の住まいに近くで日本語教師になるための勉強ができる登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関がどこにあるのか、探すのに便利です。認定日本語教育機関はまだ件数は少ないですが、件数が増えてくれば、いろいろな学校を比較検討する上でも便利なサイトになるでしょう。
3.はまだ稼働していませんが、将来的にはここから、日本語教員についての情報発信が行われることになるでしょう。また、4.からは登録日本語教員としての登録、認定日本語教育機関としての認定、登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関としての登録の申請や、認定・登録後の変更の届出等、各種手続きなどができるようになっています。
執筆:新城宏治
株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の魅力を世界に伝えたいと思っている。