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9月1日発売! 新刊『ビジネス日本語 教え方&働き方ガイド』ができるまで

日本語学校から企業へと活躍の場を広げ、キャリアアップを目指す日本語教師必読の一冊が登場しました!9月1日発売『ビジネス日本語 教え方&働き方ガイド』です。担当編集者から完成までの経緯と、本書の特長をお伝えします!(編集部)

今必要なのは「テキスト」ではなく「教え方の本」

昨年末のこと、ようやく外国人の入国も戻り始め、留学生だけでなく、働く外国人材も再び増えてくるだろうと感じられるようになってきた頃、新しいビジネス日本語書籍の企画が形になり始めていました。

最初に、NPO法人日本語教育研究所の理事のお一人であり、企業で長年外国人社員の日本語教育に携わっている長崎清美先生にご相談したところ、「私が長年いつも一緒に頑張って、切磋琢磨してきた二人の先生が加わってくれたら、さらにいい本ができると思う」と、お返事がありました。そして、同じく日本語教育研究所副理事の武田聡子先生、日本語教師のための勉強会「サタラボ」主催の小山暁子先生という、三人の強力なビジネス日本語講師の共著として企画がスタートしました。

この2、30年、日本で働く外国人の増加に伴って、ビジネス日本語のテキストも増えてきました。大型書店の日本語教材の棚に行くと、必ずビジネス分野のテキストも並んでいます。しかし、ビジネス日本語は学習者の状況、レベル、ニーズによってまさに千差万別なので、よさそうなテキストを選んでも、「自分の学習者の状況とは違う」ということになってしまうことが多いようです。そのため今回の企画は、「新しいビジネス日本語のテキスト」を作るのではなく、「今ある教材をアレンジしながら教えていく方法を伝える本」を作るのが先決なのではないかということになりました。それは、先生方が日本語教師向けのビジネス日本語をテーマとした研修、セミナーを数多く行ってきた経験からの実感でもありました。

「基礎編」と「実践編」+フリーランスの働き方

そして「ビジネス日本語の教え方」の本に必要な項目を選び出すために、ミーティングを重ねました。それにしても、先生方は本当にお忙しい!三人の先生方の予定を合わせてミーティングの時間を取るのはなかなか大変で、週末や夜になることもありました。

まずは全体を二部構成とし、「基礎編」でビジネス日本語を教えるために押さえておくべき基本的な知識について、「実践編」では、実際に教えるときに注意すべき点をまとめることになりました。全体の構成は以下のようになっています。

「実践編」の最後の章にあたる「ビジネス日本語の働き方」はこの本の大きな特長です。話し合いを重ねる中で「ビジネス日本語の場合、日本語学校などに所属する教師と違って、フリーランスで働くという可能性も高い、教え方だけでなく、働き方の話も必要」ということになりました。そこで、フリーランス日本語教師として活躍している小山先生が中心となって、営業活動や報酬の決め方、クライアントとの付き合い方などフリーランスとして働くために必要なことについて、実体験をもとに執筆していただきました。

先生方、そんなに出しちゃっていいんですか??

実践編1「ビジネス日本語のコースデザイン」には、ビジネス日本語レッスンのコース案が9本、実践編2「ビジネス日本語の指導内容」には授業実践例14本が掲載されています。これらは先生方が実際に行ったレッスンで、企業からの要望やそれに合わせた学習目標、使用したテキストや教材が公開されています。

ビジネス日本語のレッスンはそれぞれのケースで教えるべき内容が全く異なるので、このコース案や実践例をそのまま使うことは難しいでしょう。しかし、普段目にする機会のないベテラン講師のコース案や実践例は、自分がコースデザインをしたり、授業を組み立てたりするときの参考になるはずです。

コース案や実践例だけでなく、企業に報告するための「日本語能力個人カルテ」や、ある企業のために開発したオリジナル評価基準などもそのまま公開されています。時々「そんなに全部出しちゃって大丈夫ですか?」と思うこともありましたが、先生方の「これはぜひ出したい」「企業向けのレッスンを行う上で必要になる」という熱意と自信が感じられました。

完成、出版、そしてこれから……

そして、先生方の熱い想いを込めた『ビジネス日本語 教え方&働き方ガイド』がようやく完成しました。制作期間が予定より長くなり、納得のいくまで修正を重ねました。

三人の著者がビジネス日本語の分野で試行錯誤を繰り返し、得てきた知識と経験がしっかりと詰まった1冊です。書店で見かけたらぱらぱらとめくってみてください。ページから「これからビジネス日本語を教えたいと考えている人」へ、著者三人からの熱いメッセージが感じられるはずです。

★9月1日発売!

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