4/30まで10%OFF「 NAFL 日本語教員試験対策セット」 【4/30終了】対象商品10%OFF「 春の資格取得キャンペーン」

検索関連結果

全ての検索結果 (0)
できる日本語10周年記念企画4 記念イベントに200人の教師仲間が集結

2021年、日本語教科書『できる日本語』は10周年を迎えました。この10年の間に、『できる日本語』は多くの日本語教育機関で採用され、国内外で大きく広がりました。そしてこれからの10年も『できる日本語』は進化し、発展していきます。その最初の一歩として、2021年12月12日(日)には、10周年のオンラインイベントが実施されました。(編集部)

ユーザーとともに歩み続けた『できる日本語』

『できる日本語』10周年記念イベントは2021年12月12日(日)オンライン形式で行われました。この日本語ジャーナルでも事前告知をしましたが、日本全国、さらに世界各地から参加申し込みがあり、大きな反響に急遽、定員枠を拡大して開催しました。

主催:アクラス日本語教育研究所

後援:株式会社アルク、株式会社凡人社

実施:『できる日本語』10周年記念イベント実行委員会

アクラス日本語教育研究所は、『できる日本語』シリーズの監修者でもある嶋田和子さんが代表理事を務めています。また、(株)アルクと(株)凡人社は、『できる日本語』シリーズを出版してきた出版社です。著者であるイーストウエスト日本語学校の先生方が中心となって実行委員会を組織し、イベントの準備を数カ月前から進めてきました。

プログラムは以下のように行われました。

第1部:ユーザーとともに歩み続けて/嶋田和子(アクラス日本語教育研究所)

第2部:よりよい実践を目指して~それぞれの親場から~

『できる日本語』でつながり、ともに成長する/林エミ(星城大学)

「教科書との「対話」を楽しむ」/成瀬澄子(浜松日本語学院)

『できる日本語』で学び、『できる日本語」を教える教師に!/グエン・ホアン・ラム(ベトナム:FPT大学)

『できる日本語』で変わる私/虞安寿美(台湾:中国文化大学)

第3部:みんなで語ろう『できる日本語』 『できる日本語』について語り合いましょう!

日本全国・海外から伝えられた熱い思い

第1部では、嶋田和子さんが「ユーザーとともに歩み続けて」というテーマで講演しました。その中で、特に『できる日本語』が大切にしてきた、「人・社会とつながること」「対話を重ねること」「成長し続けること」という考え方を改めて強調しました。

『できる日本語』が大切にしてきた方向性は、先頃、文化庁が発表した「日本語教育の参照枠」に示された言語教育観の柱である「日本語学習者を社会的存在として捉える」「言語を使って『できること』に注目する」「多様な日本語使用を尊重する」とも通じるものがあります。そのような方向性に沿った教育実践を、嶋田さんやイーストウエスト日本語学校は四半世紀前から継続してきました。

第2部では「よりよい実践を目指して」というテーマで、それぞれの教育現場からの声が紹介されましたが、いずれも実践報告の枠を超えた、熱い思いにあふれたメッセージにあふれていました。

林エミさんは、『できる日本語』に対するツイート(愚痴)に嶋田さんが即座に反応してきたエピソードを披露。そこからさまざまな教師仲間とつながっていったことで、対話を通して、「みんなでつながり、みんなでよくしていく」ことの大切さを学び、成長していったということを発表しました。改めて嶋田さんの「情熱」を感じたエピソードでした。

成瀬澄子さんは、『できる日本語』を徹底的に使い込んでいるヘビーユーザー。誌面のイラストの細部に込められた意味や著者の思い、初級、初中級、中級の教科書がステップのようにつながっているということを発表しました。本書のイラストを描いたイラストレーターが聞いたら、涙を流して喜ぶ話でした。

グエン・ホアン・ラムさんはベトナムから参加。自らも『できる日本語』で日本語を学び、現在はFPT大学で日本語を教えています。FPT大学では、5つのキャンパスに3万人以上の学生がいますが、その中の日本語学科、情報技術学科の合計18,000人以上の学生が『できる日本語』を使って日本語を学んでいるという話が紹介されました。海外の日本語教育のスケールの大きさが伝わる話でした。

虞安寿美さんは台湾から参加。学習者を教室の外の社会とつなげるための実践例を紹介しながら、それを通して見えてきた「教科書が変われば、教師が変わる」の意味と、日本語教師としてご自身が目指す目標について語ってくれました。虞安寿美さんは以前、日本語ジャーナルのインタビューにも登場しています。

https://shop.alc.co.jp/blogs/nj-teach-japanese/20210207-taiwan

その後は、参加者がブレイクアウトルームに分かれて、『できる日本語』について自由に語り合いましたが、日本全国そして海外で『できる日本語』を使って教えている先生方が、各々の思いや課題を共有しました。

当日の発表資料は、「できる日本語ひろば」の『できる日本語』10周年記念特設ページにアップされています。当日、残念ながら参加できなかったという方は、ぜひご覧ください。もちろん当日参加された方も、改めて発表資料を見ながら、当日の熱気を振り返っていただくのもいいのではないかと思います。第2部の4人の発表者の思い・熱量を多くの方に伝えたいと、イベント後に行われたフォローアップインタビューの動画もアップされています。

イベント全体を通して通底していたのは、参加者一人一人の熱い思いでした。その源流は関係者の『できる日本語』にかける情熱にあると思いますが、今の日本語教育業界にはこの情熱こそがとても大切なのではないかと思います。

『できる日本語』10周年記念特設ページ:

http://www.dekirunihongo.jp/?page_id=1738

関連記事


教科書について考えてみませんか-第5回 漢字学習も「できること」重視!

教科書について考えてみませんか-第5回 漢字学習も「できること」重視!
2011年4月から『月刊日本語』(アルク)で「教科書について考えてみませんか」という連載を掲載してから10年。2021年10月に「日本語教育の参照枠」が出て以来、現場では、コミュニケーションを重視した実践への関心が高まり、さまざまな現場で使用教科書の見直しが始まっています。「参照枠」を見ると、言語教育観に関して、「学習者を社会的存在として捉える/「できること」に注目する/多様な日本語使用を尊重する」という3つの柱が掲げられています。これは、2011年4月から『月刊日本語』で連載した中で述べていることに重なります。

『できる日本語』を使った「評価」について考えてみませんか 第3回 「次の学びにつながる評価」に取り組む

『できる日本語』を使った「評価」について考えてみませんか 第3回 「次の学びにつながる評価」に取り組む
早いもので最終回となりました。今回は、「日本語教育の参照枠」(以下「参照枠」)に挙げられている自己評価、相互評価、そしてポートフォリオに関して取り上げます。まずは、自己評価について考えてみたいと思います。

『できる日本語』を使った「評価」について考えてみませんか 第2回 パフォーマンス評価に向き合う

『できる日本語』を使った「評価」について考えてみませんか 第2回 パフォーマンス評価に向き合う
前回は、評価について概要的なことをお伝えし、次に、「日本語教育の参照枠」(以下「参照枠」)に基づき「Ⅲ 日本語能力評価について:(4)多様な評価の在り方と事例」より「試験」についてお話ししました。今回は、いよいよ「パフォーマンス評価」に入ります。まずは、「参照枠」の説明を見てみましょう。

『できる日本語』を使った「評価」について考えてみませんか 第1回 試験のあり方を見直す

『できる日本語』を使った「評価」について考えてみませんか 第1回 試験のあり方を見直す

2011年に『できる日本語』第1弾が誕生してから12年経ちました。その間、多くの方が手に取り、実践してくださっていますが、いまだに評価についての質問が多く寄せられます。それは、『できる日本語』が目指していることを理解すること、また「評価とは何か」について理解を深めることで、「なんだ、そういうことだったのか!」と、すとんとご理解いただけると思います。そこで、「『できる日本語』を使った実践における評価」について、「日本語教育の参照枠」(文化審議会国語分科会)を引用しながら、3回シリーズでお伝えすることにしました。