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「密」「黙食」「鼻マスク」ーコロナ禍の日本語ー

2020年、2021年の2年間は世界も日本も、コロナ禍に苦しんだ2年間でした。コロナは我々の社会生活を一変させました。仕事はリモートワークに、授業はオンラインに、大規模イベントは中止になりました。そうした変化の中で、さまざまな新しい言葉が生まれ、使われるようになりました。コロナ禍の日本語を振り返ります。

2020年の今年の漢字

年末の風物詩でもある「今年の漢字」は、日本漢字能力検定協会が「その年を象徴する漢字一字」を公募し、最も応募数の多かった漢字を、12月12日の「漢字の日」に京都府の清水寺で発表するものです。

昨年2020年の今年の漢字には、「密」が選ばれました。もちろんこれは「3密」の「密」から来ているものと思われます。2位以下にも、ずらりとコロナに関係するような漢字が並びました。4位の「新」は「新型コロナ」の「新」、5位の「変」は「(コロナによる)生活に変化」の「変」から連想されたものではないかと思われます。

2位:禍

3位:病

4位:新

5位:変

6位:家

7位:滅

8位:菌

9位:鬼

10位:疫

ちなみに「3密」とは「密閉」「密集」「密接」を指しますが、このコンセプトは「3C(Three Cs=closed spaces, crowded places, close-contact settings)」としてWHO(世界保健機関)が呼びかけたこともあり、感染予防策として世界中に広がりました。「3密」を避けるために、イベントが中止になったり、飲食店が休業になったりと、さまざまな職業が影響を受けました。

2020年/2021年の新語・流行語大賞

「新語・流行語大賞」は、『現代用語の基礎知識』を発行している自由国民社が、その年に発生した言葉の中から選考します。『現代用語の基礎知識』の読者アンケートの結果から編集部によって選出された30語から50語が候補としてノミネートされ、その中から新語・流行語大賞選考委員会がトップテンと年間大賞を選定します。

昨年2020年の「新語・流行語大賞」には、やはり「3密」が選ばれました。また、4位に「アベノマスク」、5位に「アマビエ」、6位に「オンライン〇〇」、7位に「Go Toキャンペーン」、9位に「ソロキャンプ」など、トップテンの半分をコロナに関係した言葉が占めました。直接コロナに関係しなくても、コロナによる巣籠り需要により視聴者が増えた韓国ドラマや、売上が上がった人気ゲームのタイトルなどもランクインしました。

2021年12月1日に発表された「新語・流行語大賞」でも、やはり「人流」「黙食」など、コロナ関連の言葉がランクインしました。2020年は全国の大都市や観光地の「人流」が1週間前に比べて増減したということが大きなニュースになり、会話をせずに食事を済ませる「黙食」がコロナ禍におけるマナーになりました。

コロナ関連以外の「新語・流行語大賞」には、スポーツに関連する言葉が並びました。年間大賞はメジャーリーグで大活躍した大谷翔平選手の「リアル二刀流」「ショータイム」が選ばれました。また、2021年は日本でオリンピックが開催されたこともあり、「ゴン攻め/ビッタビタ」「スギムライジング」といったオリンピック競技に関わる言葉や、IOC会長を指す「ぼったくり男爵」、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会前会長の失言でも注目された「ジェンダー平等」といった言葉がランクインしました。

2022年はコロナ関連の言葉が少なくなることを願う

「新語・流行語大賞」と似たものに、三省堂の主催する「今年の新語」というものがあります。これは、「新明解国語辞典」「大辞林」などの国語辞典で有名な三省堂が、辞書を編む専門家が選んだ「今後、辞書に採録されてもおかしくないもの」という基準で選ぶ言葉です。

「今年の新語2021」にも、第5位に「人流」、選外に「鼻マスク」「黙食」とコロナ関連の言葉が選ばれました。それ以外では、「今年の新語2021」の大賞は「チルい」、2位に「〇〇ガチャ」、3位に「マリトッツォ」が選ばれましたが、皆さんはこれらの言葉を耳にしたことがあるでしょうか。あるいは、意味が分かるでしょうか。新語は、日本全国で全ての人が一斉に使い始めるのではなく、ある一定の属性において新しく使われ始めることが多いと思われますので、異なる属性の人にとっては「あまり聞いたことがない」という言葉も含まれる可能性があります。

さて、2021年の「今年の漢字」は、どのような漢字が選ばれるのでしょうか。この1年を振り返ってあれこれ予想してみるのも楽しいものですが、「今年の漢字」「新語・流行語大賞」などに同じようなトーンの言葉だけが並ぶのは、ちょっと寂しいものです。2022年はさまざまな分野の、そしてできれば少し明るく前向きな漢字・新語・流行語が、「今年の漢字」「新語・流行語大賞」などにランクインしてくれることを願っています。

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