新型コロナウイルス感染症拡大に伴う断続的な外国人の入国制限により、多くの日本語教育機関にとって厳しい状況が続いています。また、その影響は、日本語教師の担当授業数の減少などにもつながっています。いずれコロナは収束して入国制限が解除される日が来ますが、それまでの間を乗り切るために、経済産業省の支援・影響緩和策の一つである月次支援金についてご紹介します。
月次支援金とは何か
経済産業省のホームページには、新型コロナウイルス感染症関連のさまざまな施策がまとまっています。2020年から1年半以上も続く厳しい状況に対して、これまで持続化給付金、家賃支援金、一時支援金などさまざまな支援・影響緩和策が取られてきました(これらの施策の申請は既に終了しています)。
2021年7月末現在、申請を受け付けている施策の一つに月次支援金という施策があります。これは、2021年4月以降に発令されている緊急事態措置やまん延防止等重点措置の影響を受けている中小法人や個人事業者に対して給付されるもので、パンフレットによれば、給付対象の具体例には、医療・福祉関係、文化・娯楽関係と並んで教育関連の事業者として学習塾などが挙げられています。また、そのような事業者と取引がある全国の事業者も対象例として挙げられています。
月次支援金の給付対象をホームページで見てみましょう。それによれば給付要件は2つあるとしています。1つは緊急事態措置またはまん延防止等重点措置に伴う外出自粛等の影響を受けていること、もう1つは月間売上が2019年または2020年の同じ月と比べて50%以上減少していること、とのことです。
ポイントは外出自粛のところではないかと思います。日本語学校が苦境に立たされている根本原因は外国人の入国制限ではあるのですが、それだけではこの月次支援金の給付対象になるのは難しいと思われます。しかしながら、既に入国・在留している留学生が外出自粛の影響で通学できない、外国人生活者・ビジネスマンが外出自粛の影響で出勤・移動できない、さらには教師も外出自粛で通学・通勤できないということもあったと思います。さらには、日本語教師養成講座を持っている学校では、外出自粛の影響で養成講座の対面授業ができなくなったというところは少なくないと思います。そのために、学生や受講生が減り、授業や企業研修が減り、そのことによって売上や収入が大きく減ったのであれば、支援金を申請し得る可能性はあるように思われます。
緊急事態措置、まん延防止等重点措置実施都道府県
それでは、緊急事態措置またはまん延防止等重点措置実施都道府県とは、どこが該当するのでしょうか。対象都道府県は月によって異なりますが、月ごとにまとめると以下のようになります。なお、仮に1つの都道府県の中の特定の市区町村が対象地域だったとしても、その都道府県全体が実施地区として捉えられています。
【4月】
緊急事態措置:東京、京都、大阪、兵庫
まん延防止等重点措置:宮城、沖縄、埼玉、千葉、神奈川、愛知、愛媛
【5月】
緊急事態措置:東京、京都、大阪、兵庫、愛知、福岡、北海道、岡山、広島、沖縄
まん延防止等重点措置:宮城、埼玉、千葉、神奈川、愛媛、岐阜、三重、群馬、石川、熊本
【6月】
緊急事態措置:東京、京都、大阪、兵庫、愛知、福岡、北海道、岡山、広島、沖縄
まん延防止等重点措置:埼玉、千葉、神奈川、岐阜、三重、群馬、石川、熊本
【7月】
緊急事態措置:東京、沖縄
まん延防止等重点措置:北海道、埼玉、千葉、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡
【8月】(7月現在)
緊急事態措置:東京、沖縄
まん延防止等重点措置:埼玉、千葉、神奈川、大阪
現在、この施策は8月まで実施されることが決まっていますが、新型コロナウイルス感染状況により、9月以降も緊急事態措置またはまん延防止等重点措置が継続、あるいは新規都道府県が指定された場合は、月次支援金の施策も継続されることが予測されます。皆さんがお住まいの都道府県をご確認ください。
4月、5月分の申請締切は間近
月次支援金の申請期間は4月分、5月分が2021年8月15日までとなっています。それ以降は、対象月の翌月から2カ月間が申請期間です。ちなみに初めて申請する場合は「登録確認機関による事前確認」という手続きが必要で、4月分、5月分は2021年8月10日までに、この手続きを完了させる必要があります。
必要書類は中小法人(学校などの場合)と個人事業主(日本語教師の場合)で異なっていますので、申請手続き含め、詳しくは一時支援金のホームページをご確認ください。なお、月次支援金は被雇用者、被扶養者は対象外になりますのでご注意ください。また、月次支援金に限りませんが、(当たり前のことではありますが)支援金は申請をしたからと言って必ず審査に通るわけではありませんし、申請のためにはさまざま書類を集める手間、場合によっては経費も発生しますので、そのことは予めご承知おきください。
明けない夜がないように、いずれコロナは収束して入国制限が解除される日が必ず来ます。月次支援金以外にも経済産業省の支援策、各都道府県の支援策など、さまざまな情報はホームページから集めることができますので、いろいろと調べてみるといいでしょう。
経済産業省・月次支援金ホームページ:
https://ichijishienkin.go.jp/getsujishienkin